ヴェレダの庭師たちの英知① 植物観察について

南ドイツのシュヴェービッシュ・グミュントにある、ヴェレダの農園への小旅行に参加しませんか?そこでは、ヴェレダの薬用植物がどのように私たちの健康を増進するかについて、農園長のミヒャエル・シュトラウブが説明します。

植物はどうやって私たちに健康をもたらすか

この農園での私たちの主な仕事は、周囲の自然とつながることと、植物の不思議について、書物のページから読み解くかのように知ることです。ある植物が、「ある特定物質を含んでいる」ということと、あるいは、「それが天の恵みとして、植物にもたらされている」ということでは、はっきりと違いがあります。

私たちの最も大切にしていることは「植物観察」です

タイムというハーブの、強くフレッシュな香りは、いつも私のお気に入りの芳香のひとつです。

ヴェレダの咳止め薬(日本未発売の自然医薬品)のひとつでは、天然タイムのエキスを有効成分として使っています。
タイムには「温める」という特性があります。夕方近く、私は農園に出てタイムの小枝を2~3本摘み取り、沸騰したお湯の中に浸して楽しみます。タイムティーには長く持続的な、エネルギーを与える作用があります。それはまるでこの薬用ハーブが、日光から吸収した熱を伝えるかのようです。まるであなたの身体を徹底的に保護するようでもあります。何故そうなのでしょうか?

シュヴェービッシュ・グミュント近郊の、ここWetzgau(ヴェッツガウ)にあるヴェレダの薬用植物農園のトップとして、私はこうした質問にお答えできることを幸運に思っています。

私たちの最も大切にしていることは植物観察で、それは「直感」と「詳細にわたる観察」との組み合わせになっています。

もし私がある植物とその現象を、より密に観察したいと思ったなら、私は折り畳み椅子と絵具、そしてイーゼルを持って、農園の中に入っていくでしょう。スケッチすることは注意力を鋭敏にさせてくれ、課題となっている問題に意識を向けてくれます。

植物の形状をスケッチするときには、集中する必要があり、あれこれ浮かんでくる関係のない考えを無視する必要があります。
さもなければ見逃してしまう細かいことに気づきます。
植物への注意を怠らず、完全に焦点を絞ることが、植物への理解力を増大させます。

ヴェレダの庭師たちの英知① 植物観察について

タイムの植物観察

植物観察を行うと、タイムがどのように、その精油の形成を表現するかといった、さもなければ見逃してしまうような細かいことに、あなたは気づくでしょう。
タイムの葉は、その花と同様、無数の油胞で覆われています。小さな腺毛は裸眼でも、花の上に見られ、別途、拡大鏡を使えば、もっと密着して識別するのに役立ちます。

タイムは、地中海の乾燥した灌木地帯の小高いバイオームに自生しており、そこで5月~10月に、薄紫とピンクの様々な色の花を咲かせます。
その姿は、タイムの草木の中で作用する、濃縮されたパワーを表現しているかのようです。この植物は、春には背が低いのに、夏には最大に成長するなど、太陽エネルギーのすべてが、このタフな小さい植物によって吸収されたかのように生育します。

より多くの感覚を用いることで、私たちはタイムとの対話を拡張させ、さらに理解を深めることができます。
例えばその香りは、芽をいくつか摘んで、指の間で優しくこすると、より強くなります。「触れること」、「味わうこと」、「匂いを嗅ぐこと」が、植物とコンタクトするためのすべての方法です。どんなにわずかに指をタイムの灌木でかすめただけでも、その紛れもない芳香を指に授かることに、私はいつも感心してしまいます。

このことから、タイムは「自己主張をする植物だ!」といえるでしょう。

ヴェレダの庭師たちの英知① 植物観察について

私たち庭師の仕事は植物とコミュニケーションすること

植物は話すことができないからといって、それは植物がコミュニケーションしないことを意味するものではありません。植物は、それがどのように成長するかと、どこで成長するかということ通して、その植物の特性を明らかにします。

ヴェレダのこの農園には、タイムにとって大切な、美しく太陽が降り注ぐ環境があります。

私たちは農園で起こっていることを非常によく認識しており、あらゆることを綿密に観察しています。
こうすることで、私たちは植物が必要としているものを与えることができ、反対に植物は、私たちがする手入れに報いてくれるのです。
例えば、タイムがどれだけ私たちが行ったことに報いてくれるかということだけでも、私は驚嘆され続けています。

 

私は、この驚きを他の人々と分かち合うことを愉しんでいます。
私が行なっている薬用植物農園の見学ツアーでは、参加者に、このタイムのことをもっとよく知ってもらえるよう促すことがあります。
タイムの葉を噛んでみると、放射温とでも言うような、口の中から喉を通って、身体へと広がる暖かさを感じるはずです。

私にとってそれは、たとえ太陽がほとんど射さないときでも、タイムが吸収した太陽光線を伝えてくれる方法のように感じられます。
特に秋と冬は、タイムのヒーリングパワーを求める人々に対し、植物の持つパワーの本領を発揮してくれるでしょう。

ミヒャエル・シュトラウブ
シュヴェービッシュ・グミュント(ドイツ)植物栽培研究長
農業技術者。ヴェレダの野生生物保全担当責任者としても活躍しています。

2018.08.06