5年に一度、ドイツのカッセルで開催される世界的に有名な超現代アート展『ドクメンタ』を見てきました。前回、つまり2007年のドクメンタ展が驚愕の連続で非常に面白かったので(コラム41号参照)、今回は諸作品をじっくり観賞すべく三日間にわたってカッセルに滞在しました。
まずスタートとしてメインの建物(展覧会の規模が大きいので会場は5~6カ所あり、大きなものは野外展示です)に入り、すぐ左の非常に大きな部屋に入りましたら何もありません。「また天井に犬小屋か何かを貼り付けてあるのだろう」と見上げましたら何もない。はて?本当に何もないな…とタイトルをみましたら『そよかぜ』とあります。そういえば「随分風通しのいい部屋だな」とは感じていましたが、エアコン仕掛けのそよかぜで、まさかそれがアートとはさすがに気づきませんでした。
次の肩すかしは下の作品です。メイン会場の近くの公園にあるもので、木の枝に大きな石が乗っかっています。
枯れ木のようだがよく枝が折れないものだ…と感心しながら近づきましたらなんとブロンズ製の木です。軽く叩くと空洞になっていることが分かり、思わず「お見事!」と喝采してしまいました。よく見ると数カ所に溶接跡があり、根の部分には緑青も見られ、やはりブロンズだと認識しましたが、細部にわたるまで入念です。改めて感嘆しました。ふと気になったのが、はたしてこの作品はこの公園にずっと残るのだろうかということです。ふつう野外展示の作品はドクメンタ展が終わると撤去されます。
例外的に残されているのが第7回(1982年)の『鶴嘴』と第9回(1992年)の『Man walking to the sky』です。
前者は「ヘラクレスがブン投げた鶴嘴」といういわれがあるだけあって、見る者を圧倒する大きさです。街を流れるフルダ川の岸辺にあり、カッセルの名所となっています。後者は展覧会中、メイン会場の前に設置されていたのですが、現在では中央駅の前にあり、カッセルのシンボルとなっています。展示中当時からカッセル市民の人気が非常に高く、展覧会が終わってから市が購入しようとしたのですがあまりに高価で、不足分を賄うため市民の寄付を仰いでやっとのことで購入できたという話を聞いたことがあります。
今回のドクメンタ展は出色の出来で、ビックリさせられた作品は多数ありました。街中でもドクメンタ顔負けの作品をいくつか見かけましたが、その筆頭が街はずれにあるホテルのとんがった屋根にくっつけられたベッドです。避雷針にもなるでしょうし個人的には高く評価したいと思いますが、ドクメンタが終われば撤去されるかもしれませんね。








