先月中旬、諸事情があって3年間住んだ築60年の借家を出て、たまたま売りに出ていた郊外の築20年の廉価な家を購入し引っ越しました。不動産屋を通さず、インターネットで見つけた掘り出し物でしたので、急な決断を迫られ、引っ越しそのものも大変でしたが、購入した家のリフォームと多数の植物を移植するのに骨が折れました。リフォームの方は台所の壁のタイルを大きな鑿で剥がし落とすことと寝室のラミネートという床を引き剥がすことが主な仕事で完全な力仕事。しかし剥がすだけであとの仕事は業者に任せました。植物の移植はもっぱら家内とその友人(先々回のコラムで紹介した女性です)の仕事。運搬は小生も手伝いましたが、土をつけたままなのでかなりの重労働。老体にコタえました。
購入に際して売り手の家主が出した条件が一つありました。家は二階建てでメインは二階。一階(二階よりは小さくなっています)に学生のカップルが間借り人として二年ほど前から住んでいるのですが「彼らを追い出さない」という条件です。家主とカップルの賃貸契約書には「無期限居住可。ただし家主が個人的に一階を使用する場合を除く」とあるのですが、この契約書をそのまま受け継いでほしいというわけです。さすがに少し考えましたが、数年後に卒業すればこのカップルはまずこの街にはいないでしょうし、その間彼らの家賃が副収入として得られるわけですから、悪くはありません。承諾することにしました。
で、なんとか引っ越して、100個を越える段ボール箱の整理をはじめ、半分終わったところで台所、寝室、居間が使用できるようになったのですが家内の顔色が冴えません。借家の庭で毎晩飽きることなく針鼠ウオッチングを行っていましたし、日没後餌を出すのをうっかり忘れてあわてて餌を餌皿に盛ろうと庭に出たら針鼠が待ち受けていたとかで、とにかくやっとのことでなついた(ように思える)針鼠との別れがつらいというのです。ならば数匹捕まえて新しい家の庭に放せばいいじゃない…と提案したのですが、野生の動物の環境を急に変えるのは絶対すべきではないと主張します。さらにいろんな鳥がリンゴの木に吊るした餌箱にやってきて眼と耳のいい保養になってたのに、見られなくなるのは残念だともいいます。ところが引っ越して最初の週末の午後、針鼠用の水皿に水を注いで庭の隅に置きましたら数分と経たないうちに駒鳥がやってきて念入りに行水を始めました。そしてサクランボの木に鳥の餌箱を吊るすとまもなく四十雀が5羽ほど餌を啄みはじめ、続いて以前の家ではみられなかった珍しいカンムリガラも出現して家内は大喜び。おまけに上述の学生カップルが「針鼠?庭にときどきガサゴソ出没してますよ!」と言うに至って喜色満面。さらに彼らが飼っている3歳の雄猫を「紹介」されて猫が好きな家内は思わずニッコリ。この様子では近々針鼠も登場しそうな雰囲気です。以前の借家よりも家内の楽しみが増えそうで、これらの動物に対して然程興味も関心も持たない小生も安堵しています。








