定期購読している季刊誌に「シアノメーター」が綴じ込み付録で入っていました。
シアノメーターなんてのは初耳で、シアンといえばまず毒ガスを連想しますが、シアンには「原色の青」という意味もあり、付録は青色測定に使用するものらしいと思いつきました。
で、その付録のシアノメーターですが添付の写真のように直径13㎝ほどの、少し厚めの紙の輪でして、そこに53の違った濃さの青色が1から53の番号で示されています。そしてこの輪を空に掲げて輪の内外の青色に相当する番号を記すことで空の青さを測るというものです。
早速、庭に出まして6月下旬夕方5時の空の青さを測定しますと「17」という数値になりました。少し靄がかかった水色といった感じです。「そんなちゃちなもので空の色なんて決めることはできないよ。どうせならもっと大きくて幅が広い輪でないとダメでしょ」と冷笑する家内を無視して、誰がどういう目的でシアノメーターなるものを考案したのか興味を抱きましたので雑誌の本文を読んでみました。
シアノメーターを今から200年以上も前、すなわち1788年に考案したのはスイスの自然科学者オラス=ベネディク・ド・ソシュール(1740~1799)。スイスはジュネーブの貴族の家系に生まれ、先祖も後裔もすぐれた学者という名門の出身。彼はおそらく最初の地質学者にして気象学者といえる人物でスイスの高山をあちこち歩いて高地での湿度、気圧、太陽光線の強さなどを測り、さらに『空はどれほど青いのか?』を科学的に測定しようとしたのです。18世紀後期というのはヨーロッパでは自然を理解しようとする機運が高まり、数値で把握しようとした時代ですが、いかんせん空の青を測定するような機器はなく、自分で構想を練る以外にありません。そしてシアノメーター、つまり高度、時間、気候によって変化する空の青さを測定するチャートを作成したわけです。かの有名なアレクサンダー・フォン・フンボルトがアメリカ旅行にこのシアノメーターを持参したとかで、当時の学者の間では結構知られていたのでしょう。
ふと、空の青さに感嘆したのはいったいいつだっただろう・・・と考えてみたのですが、40年ほど前にオーストリアのベーゼス・ヴァイブル山(böses Weibl:直訳すると悪女山で標高約3000m)の頂上付近からみた空の青さが一番印象に残っています。季節は夏で時間は昼過ぎだったと思いますが見事な藍色でした。シアノメーターを手に取って記憶を辿りますとほぼ「28」ぐらいだったでしょうか。富士山に登った時もとてもきれいな青空をみることができましたが午前8時だったせいか濃い青ではなかったです。
「夏の空の青さをシアノメーターで楽しんでください」というのがこの付録のメッセージです。自宅の庭で、靄のかかった水色ではなく、透明な青色をシアノメーターで測ることができる日を待ち望んでいます。








