先月のベルリンの続きとして(掲載当初しめくくりの部分が脱落しておりましたが、バックナンバーは全文掲載されております)ドレスデンについて記したいと思います。
ドレスデンという街は読者の皆様方にとってベルリンほど親しみのある街ではないと思います。ベルリンから急行でおよそ2時間、チェコの首都プラハからも急行で約2時間ほどで、ポーランドおよびチェコとの国境に接したザクセン州の州都です(人口53万)。見どころいっぱいの街で、数こそベルリンに劣りますが、クオリティではひけをとらない(と思います)。かの有名なオペラハウス(ゼンパーオパー)やツヴィンガー宮殿(宮殿内の美術館にラファエロの「システィナのマドンナ」があります)、第2次世界大戦で全壊したものの世界中から集まった巨額の募金で10年前に再建されたフラウエン教会などは必見です。
これらの名所は先回来た時にすでに見てありましたので、何も知らない家内のために極めて大雑把に案内し、余った時間を先回時間の都合で残念ながら訪れることができなかったところ(当然小生の独断で選びました)へ赴くようにスケジュールを組みました。
まず最初に行きたかったところは、ドレスデンの南東約30kmほどのところにある「ザクセンのスイス」と呼ばれる地域です。この名前を最初に聞くと大抵の人は「ザクセン人のうぬぼれだ。スイスほど風光明媚なところはザクセンにはない」と思うようですが、名前の由来はうぬぼれではありません。1780年にツィンクとグラッフという二人の芸術家(スイス人)が芸術アカデミーで教鞭をとるためにドレスデンに赴任したのですが、二人はドレスデン近郊の砂岩山地を非常に気に入り、何とも形容しがたい岩々を見て故郷を思い出し、この風変わりな岩の集まりを「ザクセンのスイス」と名付けたことがその由来です。この地域の中心は丘の上にある「バスタイ」で、ドレスデンから鉄道とバスでバスタイまで行き、そこをスタートしてエルベ川岸まで歩き(もっぱら下りです)、渡し船で対岸に渡って電車でドレスデンへ戻るというコースを選びました。散歩道を歩くと巨大な砂岩がいくつも集まっていて奇観そのものでしたが、どうしても見たかったのが、ドイツロマン派の代表的な画家カスパー・ダヴィッド フリードリッヒ(1774~1840)が描いた光景。ありがたいことにそのスポットに案内版が出ていて見落とすことはありませんでした。
翌日の目的地はドレスデンから今度は北西に30kmほど離れたところにあるマイセン。本来ならエルベ川を船で下って行きたかったのですが折からの旱魃でエルベ川の水量が船の航行に支障をきたして不可能となっていましたので鉄道で往復しました。マイセンはドイツのみならずヨーロッパで最も有名な磁器の街で、国立マイセン磁器製作所があり、ここでは過去から現在にいたる数々の白磁のすばらしい芸術作品が陳列されているほか、磁器の作成から絵付けまでの実演を見ることもできます。
またマイセンの街中は小生が住む南西ドイツのグミュントとは全く違った雰囲気で興味深い一日を過ごせました。森鴎外は数ヶ月ドレスデンに滞在し、ドレスデンを舞台にした「文づかい」を著していますが、その中にマイセンの磁器も出てきたような記憶があります。
ドレスデン(3泊4日)からライプツィヒ(2泊3日)へ入り、一日余りましたのでライプツィヒから日帰りでハレに行くかワイマールに行くか迷ったのですが、まだ訪れたことがなかったハレにしました。ハレはヘンデルの生誕地として有名ですが、その当時非常に活気のある街だったようで、その面影が今でも残っており、とても気に入りました。
旧東独にはさほど観光ずれしていない名所がけっこうあるということが分かったのは今回の旅行の大きな収穫でした。








