10月中旬から月末まで出張で日本滞在だったのですが、ある日家内からメールが入り、この紙面に何回となく登場しているコーネリアが「小さな針鼠を来春まであずかってくれない?」といってるんだけど承諾していいよね?と尋ねてきました。反対する理由がないので了承し、ドイツに戻り事情を聞きましたら、コーネリアの友人宅の犬の餌を針鼠が盗むので、捕まえたのはいいが処分に困りコーネリアに相談、コーネリアが『針鼠おばさん』の異名をとる家内のところへ持ち寄ったという経緯があったようです。体重が449グラムと小さめで数年前に大騒ぎした針鼠と大差はありません。しかしあの時の針鼠(越冬第一号と名付けます)は病気と衰弱で瀕死状態でしたが、今回のは(越冬第二号と名付けます)なんせ犬の餌を盗み食いするほどの威勢のいい針鼠ですので家内自慢の栄養食(焼いた挽肉&煎り卵&カラスムギの特選三点セット)さえ与えておけば体重も近々倍になるでしょうし、一冬中庭先のテラスに檻を設置してその中に入れてもそのうち冬眠に入るから大丈夫という確信さえ持てそうです。
しかし家内の心配の種は小生が出張からもどる一日前にコーネリアが持ち込んだ体重わずか250グラムの針鼠で(越冬第三号と名付けます)彼女が仕事先の庭園で見つけたらしいのです。で、家内が特選三点セット半分を振るまいましたら、軽く平らげたのですが、翌日ぐったりとして動きが緩慢になり夕刻には餌にも水にも触れなくなりましたので、その翌朝8時に獣医に電話。電話口で寝ぼけた声の「とにかく暖かくしてやれ。そうすれば動き出すかもしれん。症状が不変なら昼過ぎ電話しなさい」というアドバイスを受けた家内、バケツに微温水の入った湯たんぽを敷き、その上に越冬第三号を布に包んで横たえてやったのですが、一時間ほどして頭を持ち上げるようになりました。これを見た家内が越冬第三号を手に取り、水をピペットで口に入れるのですが、飲むことができない様子で越冬第一号の時とはだいぶ様子が違います。
再度獣医に電話して診療所に越冬第三号を持ち込みますと、一目みただけで「肺をやられているな。助かるかな?」と言い食塩水と抗生物質を越冬第三号に注射。家に戻るクルマの中で家内が第三号をなでながら「この子死ぬよ…」とポツリ。家に戻った家内は獣医からもらった栄養剤をピペットで何とか飲ませようとするのですが、口の端からこぼれ出るだけです。再びバケツに新しい微温水の入った湯たんぽを敷き、その上に布に包んで横たえてやったのですが、まもなく息を引き取ってしまいました……二人でしばし呆然としていましたが気をとりもどし、庭の一角に埋葬。家内は「ウチに来た時はまだ元気だったのに、なぜ急に死んだのか理解できない」とため息をつくばかり。病名はおそらく急性肺炎でしょうが、そもそも250グラムという体重自体、生存に無理があったと小生には思えます。
ふと気がつくとテラスの檻で越冬第二号がガサゴソ動き始めています。「腹が減った」という合図です。家内が気を取り直して特選三点セットを料理し始めました。11月は落ちこぼれの針鼠が出回る季節です。ひょっとしたら越冬第四号、第五号が「針鼠おばさん」のところに持ち込まれるのではないかと予想しております。








