過日、森の中を散歩していて木陰に強烈な朱色の実をつけた奇妙な植物をいくつか見つけました。高さ約25cm、赤い実の部分は約5cmほどで茎がすんなり伸びていますが葉は見かけませんでした。かような目立つ植物など見逃すはずはないのですが、小生が三日と空けずに歩いている45分の散歩コースには、最後の5分のところに50段ほどのかなり急な階段がありまして、通常一気に登るのですが、5月6月と休暇と出張で二カ月間散歩しなかったものですから、さすがに途中で息が切れ、立ち止まって呼吸を整えていてふと目に留まったのがこの植物です。あまりに毒々しいのでカメラに収め、家内に聞きましたら、
ドイツ語でアーロンシュタープ(Aronstab:学名 Arum Maculatum)という薬草で、森の中で時々みられる植物だと言います。これには思わず「まさか!」と驚いてしまいました。といいますのも小生にとってはアーロンシュタープは幻の植物で、植物図鑑で見て花は水芭蕉に似ている(仏炎苞)ようだと認識していたもののまだ一度も実物をみたことがなく、てっきり珍しい薬草なのだろうと思い込んでおりました。
それがまさか自宅から300mと離れてない森の中にあるとは思いも寄らず、さらにこの毒々しい色の実が、まだ見たことがない水芭蕉に似ていると思われる清楚な花とどうしても結びつかず、しばし呆気にとられていましたがやっとのことで分別を取り戻し、家内に「外見はかなり毒々しいが、毒草ではないだろうな?」と聞きましたら、「毒草だよ」と、それがどうしたと言わんばかりのつれない返事。話になりませんので薬草図鑑で調べましたら、『植物の全部分に強い毒性がある』と記されていました。しかし根の部分がよくわかりません
ので旧友から譲り受けた年代物の薬草大全を見ましたら以下のような図解が載っていました。
文字はフラクトゥール(Fraktur)という、ドイツでおよそ70年ほど前まで主に使用されていた書体で小生には読みづらいですが根と茎の部分は見ればわかります。4月から5月にかけて花が咲くようで生息場所を確認しましたのでぜひとも来春この毒草の花を見たいものだと言いましたら、家内は「そういえばこの毒草の花を見た記憶がないな。朱色の実はいやでも目に付くけど・・・よっぽど目立たない花なんだろう」と思い出したようにコメント。幼い時は実家の裏にある森の中を縦横に走り回っては遊んでいたと自負する家内が「見た覚えがない」というのは、彼女自身も不思議に思えたようです。しかしアーロンシュタープだけではなくイヌサフランといった森の中にある物騒な毒草を一体だれが幼い彼女に教えたのか疑問に思いましたので問いただしましたら「母親・・・だったと思うけど随分昔の話でよく覚えてない」という頼りない返事がありました。よくまあ触れたり齧ったりしなかったものだと思います。
イヌサフランは日本でもあるようで、時折誤食で死亡するケースが報道されていますが、アーロンシュタープ(和名=アルム?)はそもそも日本に野生のものがあるのでしょうか?どなたかご存知の方がおいででしたらご教示くださいますか?








