先月中旬、熊野古道を歩く機会に恵まれました。一泊二日の行程でしたが天候が芳しくありませんでしたので、語り部ガイドさんの提案で発心門王子ではなく伏拝王子からスタートし本宮大社へ向かって熊野古道の中でメインともいえる部分を歩くことにしました。木立の中に続く石段の道や、昔のままといった風情のある山道にはいくつかの興味深い名所旧跡があり、霊的なものが十分感じ取れて、平安時代から多くの人々を惹きつけてきたのも宜なるかなと思った次第です。翌日は速玉大社、そして那智大社と回り、締め括りとしてみた那智大滝は語り部ガイドさんによれば前日の豪雨の影響で珍しいまでの水量だとのことで、その荘厳さに圧倒されてしまいました。十年以上前から熊野古道を訪れてみたいと思っていたのですが、これほどまでにすばらしいところだとは思ってもいませんでした。
そして歴史だけではなく、伝説の動物や植物についても学ぶことがありました。まず八咫烏(ヤタガラス)というカラスで、神武天皇の東征の際、熊野から大和へ入る山中を導くため天照大神から遣わされたという烏です。神の使いというのは小生には鹿というイメージがあり、黒いカラスなんて不吉なのにどうしてだろうと思ったのですが、黒い色というのは高貴な色でもあるとかで、さらにわけがわからなくなったのはカラスの色が緑色なのです。ことし一年のテーマが「みどり」で、それに則って本来は黒い八咫烏が向こう一年緑になったまでの話という説明を受けましたが地元の方々はどうも不満なようで「早く黒に戻ってほしいね」という声もちらほら耳にしました。八咫烏はサッカー日本代表のマークでユニホームにも見られ、三本足の一つでサッカーボールを掴んでいます。平安時代の蹴鞠名人が熱心な熊野詣を行ったこととあながち無関係ではないでしょう。 それはともかく、黒いポストというのは初めて見ました。しかるべき当局の許可を得ているとのことですが、本宮大社の権力というのは相当強いのではないかと思われます。
速玉大社の境内では熊野神社の神木である梛(ナギ)を見ることができました。マキ科ナギ属の針葉樹ですが葉だけみれば広葉樹のようにも見えます。葉脈が縦方向にしかなく(平行脈)縦方向に引っ張ってもちぎれないということで夫婦円満のシンボルといわれることもあるようです。神木といえばでっきり楠だと考えていたのですが、梛という神木もあるということを学びました。
那智大社には青岸渡寺が隣接しています。近世までは神仏習合の修験道場だったのが明治時代の神仏分離令によって神社と寺に分けられたのですが、隣接する神社と寺をじかに比較して、年を取るとともに少しづつ神社の方に傾倒しつつある自分を認めております。








