いよいよ秋も深まってきました。「読書の秋」ということで今回は本について記すことにします。
先だって、第二ドイツテレビ局が25万人を対象に「あなたの一番好きな本は?」というアンケートを行い、その結果を公表しました。以下にトップテンを紹介します。
(1)指輪物語(トールキン)
(2)聖書
(3)大聖堂(フォレット)
(4)香水(ジュースキント)
(5)星の王子様(サン=テグジュペリ)
(6)ブッデンブローク家の人々(トーマス マン)
(7)千年医師物語(ノア ゴードン)
(8)アルケミスト(パウロ コエーリョ)
(9)ハリー ポッター 賢者の石(ローリング)
(10)女法王ジョーン(ドンナ W. クロス)
この表をみて小生が一番驚いたのはゲーテのファウストがトップテンに入らなかったことです(15位)。質問が「あなたの一番好きな本は?」ではなく「あなたにとって一番重要な本は?」だったらおそらく聖書がトップで2位にファウストが挙げられたのではないかと思います。ファウストは戯曲ですがドイツ人の精神が完全に表現されているといわれる文学書で、この本なしにドイツ魂は語れない。事実、講演や会話ではよくファウストからの一節が引用され、諺になっているのもあります。このファウスト、一昔前までは学校で必読の書だったのですが、やはり時代の波ということで現在ではあまり採用されていないようです。昨年の「一番偉大なドイツ人は誰か?」のアンケートでゲーテが意外にも7位に終わったこととあわせて、ファウストがトップテンから洩れたというのは、なにかドイツ人の本質といったようなものが崩れていくような気がします。そういえば上記のトップテンの中で純ドイツものはわずか2冊だけです(「香水」と「ブッデンブローク家の人々」)。ドイツ人のメンタリティにもグローバル化が押しよせているのでしょうか?なお日本で人気のあるドイツ人作家エンデの作品は「はてしない物語」が26位、「モモ」が53位と健闘しています。
二番目に驚いたのが分厚い本が多いこと。指輪物語は超大作の三部作で映画にもなりましたからご存知の方も多いでしょう。千年医師物語も三部作。聖書もかなり厚いですし、ブッデンブロークも岩波文庫で上中下とあり、長い小説です。ドイツ人というのはどうやらじっくり腰を据えて読書するタイプのようです。 そういえば何かの調査で「長い文章を頻繁に読む人の割合(15才)」がドイツで26%、日本で3%というのがあり、「短い文章(特にマンガ)を頻繁に読む人の割合(15才)」はドイツで11.7%、日本で74.5%でした。ここでもドイツ人の長文好きが証明されています。
あと、気がついた点は、ファンタジー小説、いわゆる空想、寓話の類が多く入っていることです。幻想の世界で思考をめぐらして新しいものを見つけようという意志があるのかもしれません。歴史ものも多いです。
しかしこのアンケートについて、「指輪物語がトップなのは映画が当たったからだ。他にも上映化されたものが入っている」、「買ったけどツウドク(通読)ではなくツンドクだけになってる本を挙げた人間がかなりいるに違いない」、「なぜ聖書が第二位なのだ?どう考えてもおかしい」、「好きな本は?と聞かれて即答できる人間はそうはいない。ロクに考えもせず思いついた本を口に出したという人間が殆どだろうからアンケートとしての信憑性は高くない」といった批判的な声もあがっています。
ところであなたの一番お好きな本は何でしょうか?即答できますか、それとも少し考える必要がありますか?








