トゥルン(Tulln)といいますのはウィーンの北西20kmほどのところにあるドナウに面した人口15000人の街で見どころが多いと言われています。先月のコラムで記しましたクレムス(Krems)に滞在中に、この街を訪れてみました。
最初の目的地はこの街で生まれた夭逝の鬼才画家エーゴン・シーレ(Egon Schiele)のミュージアム。
初期の作品が展示されていましたが、数も少なく、さほど感銘は受けませんでした。入口の前に彼の像が立っていて、入口そのものもミュージアムに誘うようなものだっただけにいささか残念でした。
そしてミュージアムの近くに、中世ドイツの抒情詩『ニーベルンゲンの歌』にまつわる記念碑がありました。トゥルンはオーストリアで最も古い街の一つに数えられていて、抒情詩にもクリムヒルデとエッツェルが初めて会ったところとして出てきますが、記念碑は凄惨な結末を暗示しているように思えました。そしてこの記念碑のすぐ後ろのドナウ川に舞台が設置されていまして、何やら夜のイベントの準備がとり行われていました。この記念碑と舞台のコントラストが面白いです。
そのあと見学したのがフンデルトヴァッサーが愛用していたという帆船です。
ドナウ川の河畔に繋がれており、たまたま船をチェックしていた人の案内で中に入ることができたのは幸運でした。
船内には彼が使用していた簡易机やベッドなどが見られ、絵画だけではなく建築の分野(日本にも彼の作ですが、長さを12mから15mにし、幅を広げ、マストを2本加え、さらに舳先と船尾に手を加えて左右非対称したとはいえ、このようなちっぽけな帆船で地中海を出発して大西洋を経てニュージーランドまで行ったというのが品があります)でも大きな業績を残した天才の生活ぶりを垣間見ることができて感無量でした。








