十日ほど前からドイツにおりますが、ドイツではビールはいまや美容界で新たな脚光を浴びているようです。いくつかのスパ・ウェルネス業者が「ビールで肌をトリートメント!」というキャッチフレーズで新しいウェルネスプログラムを考え出しているというニュースが出ていました。ビールにはビタミン、ミネラル、アミノ酸などが含まれていて、これらが美容によいというのです。
ドイツ女性は昔からビールで洗髪すると髪に輝きが出ることを実感しているとは聞き及んでいましたが、どうやら最近ではビールは髪だけではなく肌にもいいということがわかったらしい。すなわちビール風呂の登場です。ビールに含まれている炭酸とタンニン酸が肌をやさしく洗い、酵母は肌をなめらかにするとあります。
でもわざわざスパに出向かなくてもビールの効能を自宅でも試すことができるようです。バスタブに湯をはり(温度は39℃以下)、3リットルのビールを注ぐだけでOK。好奇心旺盛な方、お試しあれ!…といいたいところですが、小生のようにアルコールを受けつけないタイプがビールで洗髪し、ビール風呂に入ったらどういうことになるのでしょう?洗髪後、酩酊気分になり、バスタブで溺死なんてことになりかねません。漱石の「猫」を思い出してしまいました。ノン・アルコールのビールは論外でしょうし…さらにこれはドイツのビールを前提にしています。ドイツでは1516年に制定されたビール法(ビールは麦芽、ホップ、酵母、水のみで作られなければならない)というのがあり、これが現在でも存続しています。日本のビールはこのドイツの基準に則っていないと考えますので効果は疑問です。
美容効果はともかく経済効果はありそうです。少し古いですが2006年のデータではヨーロッパで国民ひとりあたりのビールの消費量はチェコがダントツのトップで160リットル。ドイツは第二位で115リットルとあります。別の統計によりますと日本人一人当たりのビールの消費量が年間約50リットル。ドイツの半分以下です。で、参考までに皆様方が三日と明けずにビール風呂に入られますと年間で実に360リットルの消費、週一回でも年間156リットルのビールの消費となります。日本のビール会社はここに注目して、「喉の潤いにも肌の潤いにもビール!」とか「内面、外面の両面用ビール」とか、こうなったらいっそのことラベンダーでも添加して「精神と肌のリラックス用入浴ビール」なんてキャッチフレーズで広告を出すのはのはどうでしょう。ラベンダーを添加すれば嗜好できないのでアルコール飲料にはならず、酒税がかからなくなってビールの値段よりもはるかに廉価で提供できるのではないでしょうか…
と、ここまで書いて、たまたま横に座った知人のドイツ人女性にこの話をしましたら、「たわけたことを!」と一喝されてしまいました。さらに「そもそもあなたはビールで洗髪したり、ビール風呂に入ったことがあるの?」とたたみかけられ、「いや、小生は体質的にアルコールを受けつけないのだ」と答えるのが精一杯。彼女の経験によればビールで髪を洗うと彼女の軽い金髪が逆立ち、さらにビールは彼女の肌に決してやさしくない、しかも臭いとのことです。
読者のみなさま、もしビール・トリートメントに興味をお持ちになりましても、十二分に熟考なさってから実践なさってください。








