先月2週間の休暇をとってドイツ東南部にあるバイエルン州の二つの街を訪れてみました。ひとつはガルミッシュ=パーテンキルヒェン(Garmisch-Patenkirchen)、もうひとつはベルヒテスガーデン(Berchtesgaden)という、いずれも山の麓にある街で風光明媚な保養地として著名です。
まずガルミッシュ=パーテンキルヒェンですが、ダブルネームでもわかるように、もともと二つの街だったのをヒットラーがオリンピック誘致目的で強引にくっつけたものです。ここにはツークシュピッツェ(Zugspitze)というドイツで一番高い山(2962m)がありロープウェイでもアプト式の高山鉄道でも簡単に頂上近くまで行けることもあっていつも賑わっています。しかしこの山も、かって皇帝がいた時代には脚光がまったく当たらず、当時ドイツの最高峰は『皇帝ウィヘルム峰』で学校の教科書にはその高さが6011mと記されていました。しかしヨーロッパには6000mを越える山はありません(一番高いのはモンブランで4808m)。このからくり、おわかりですか?実はこの『皇帝ウィヘルム峰』というのはキリマンジャロのことなのです。そしてキリマンジャロのあるタンザニアは当時ドイツの植民地だったのです。おまけにキリマンジャロは5895mなのですが、ドイツの威信を誇示するため、あえて間違った測定を行って強引に6000m以上としたのです…少し複雑な気持ちになりましたが、そんな過去のことはどうでもよろしい。たとえツークシュピッツェが3000mそこそこでも山頂から見る360°のパノラマは絶景で小生が登ったときは視界100km以上で4カ国にまたがるアルプスの峰々が非常によく見えました…と、ふと下界をみると南の方、つまりオーストリアからこのツークシュピッツェにやってくるロープウェイがあります。
そうなのです、この山はドイツとオーストリアの国境にある都合、頂上にある建物が二分されており、オーストリアの方に写真1のようなチロルの彫刻家の作品が設置されていました。二国をまたぐ人間という意味合いが見て取れ、またもや考えさせられました。この二国はなにかにつけていがみあうのですが、この山へのロープウェイの設置がオーストリアの方が早く、さらにオーストリアには3000mを超える山が多々ありますので、例外的にオーストリア側の余裕が感じ取れました。
5日間ガルミッシュ=パーテンキルヒェンに滞在したあと、250km離れた次の目的地ベルヒテスガーデンへ。ここでたまたま「牛の山降り」があるというので見物に出向きました。夏の間、山で牧草を食んでいた牛が村に降りてくるという観光客集めのイベントで、山から村への牛の移動は土地の事情で湖を船で渡らなければならない。そして村の船着場に着いた牛はごてごてと飾り立てられ、農夫に先導されて農家に戻るというお膳立てなのですが、牛にとって甚だ迷惑な話で、ひと夏悠々と草を食んでいたのに、柵のついたボートに詰め込まれ、やっとのことで着いた岸では頼みもしないのに邪魔な飾りを施され、挙句の果てに大勢の観衆(千人ぐらいだったと思います)が異様な雰囲気で見守る道を闊歩しなければならない(写真2)。相手が牛ということで案内書にも開始時間の大幅な遅れがありうるとされていましたが、実際2時間ほど遅れていました。しかし歩いた牛はわずか十頭ほど、しかも若い牛ばかりです。そしてかなり興奮しているのがよくわかり、農夫の方もいらだっていて、どちらも駆け足で観衆の前を走りすぎて行きました。あとに残ったのは牛の多量の排泄物のみ。なんだか拍子抜けしてしまいました。このあとオーストリアに入り、ザルツブルグの近くにある観光保養地域のザルツカンマーグートに足をのばし、毎日数時間山歩きを楽しんだおかげでかなり日焼けしました。山歩きとはいえ岩場があるので登山靴が必要です。天候にも恵まれ久しぶりにアルプスを堪能しました。








