3月11日に地震、津波、原発事故という三重の未曾有の災害が東日本を襲い、おそらく3万人近い死者と行方不明者を出したというニュースはドイツにも大きなショックを与え、いくつかの街が壊滅的な被害を受けた凄惨なビデオが流れると「信じられない!」と恐怖に慄いていました。亡くなられた方々の冥福を心からお祈りいたします。
この想像を絶する災害を通して、日本人とドイツ人の違いが鮮明になりました。二つ例をあげてみます。
まず原発についての認識の相違です。原発事故が福島で起こってから2週間後に小生の住むドイツ最南西部の州(バーデン=ヴュルテンベルグ州)で選挙がありました。そして、まさか…と思われた結果が出たのです。60年近く続いてきた保守政権が敗れ、ドイツで初めて『緑の党』(環境政党で80年時代の政党立ち上げから一貫して原発反対を唱えている政党です)が知事を擁立することになりました。ドイツ国民の原発に対する反感がいかに強まっているかを物語っています。原発事故3日後にドイツのテレビ局が行った世論調査では、70%のドイツ人が福島のような原発事故がドイツでも起こりうると考えており、39%がなんらかの形で日本からの放射能がドイツにも影響を及ぼすであろうとし、最も古い原発7基を即刻停止することを72%、すべての原発をできるだけ早く停止することを52%の回答者が支持していました。いずれの項目もかなり高い数値です。これに対し4月初めに行われた日本での某新聞の世論調査では、原発を増やすべき10%、減らすべき29%、現状維持すべき46%、すべてなくすべき12%という結果が出ていたのには驚きました。「すべてなくすべき」がドイツ52%、日本12%で大きな差がみられます。ドイツの世論調査が日本と同じように4月初めに行われていたら、差はもっと広がったはずです。両国間でこれほど大きな差があるというのは、ドイツが25年前に起こったチェルノブイリでの爆発事故の影響を多少なりとも受けたからだと思います。あの時はドイツだけではなくヨーロッパ全体で大騒ぎとなり、「むやみに外へ出ないように」という警告が出されましたが、当時の記憶がいまだにドイツ人の中にはっきり残っているのでしょう。チェルノブイリから8000km離れた日本でも野菜や水から放射能が検出されたようですが、ドイツは1500km離れているだけです。
次にメンタリティーの相違です。津波後の被害地域における生活物質不足の際、暴動も起こらず、寒風が吹きすさぶ中、被災者の方々が列を乱さず順番を待っているビデオが流れると、こちらの人間は一様に驚嘆しました。知人たちとしばし話し合ったのですが、ドイツではこうはいかない、とっくに略奪さわぎになっているだろうというのです。日本人の規律正しさはドイツでもよく言われますが、かような非常事態においても規律が守られるというニュースには深い感銘を受けたようです。そして毎日のように余震があっても、首都圏では仕事が続けられているということもドイツ人には不可解。さらに避難先では不便を囲っていながらも、被災された方々が避難所でお互いになぐさめ励ましあっている。このような不遇のどん底においてでも連帯感、助け合い精神があるというのがすばらしい。日本は未曾有の危機にあるが、日本人は危機に瀕して一丸となれる。日本は必ずや立ち直るであろうと思うわけです…小生もそうであってほしいと念じています。








