現在小生が住んでいる家は引っ越してきてすでに4年半ほど経ちます。引っ越しに伴い、20㎝ほどになっていた小さなイチョウの木を移植して成長を楽しみにしていたのですが、引っ越してしばらくしてうっかり芝刈り機で切断してしまい、数センチほどになってしまって大いに落胆しておりました。「このイチョウが自分より大きくなることを何とか見届けたいものだ」とひそかに思っていましたのでなおさらです。やむなくそのまま放置しておきましたら一昨年の秋は40㎝、昨年の秋は100㎝と驚くほどのスピードで成長し、先週見ましたら120㎝ほどになっていました。前に住んでいたところではなかなか大きくならず、今の庭の土壌はよほどイチョウに向いているようで、うれしい限りです。しかしイチョウが針葉樹だとは家内に指摘されるまでついぞ知りませんでした。「針葉樹とは葉が針のような形をしていて落葉しない。広葉樹は葉が幅広く落葉する。しかしカラマツのように針葉樹でも落葉するものもある・・・」ぐらいの知識しか持ち合わせておりませんでしたので赤面ものです。針葉樹の定義が「裸子植物で球果をもつ一群」ですので、たしかにイチョウは針葉樹です。図らずも拙宅の庭の一角はコウヤマキ、カラマツ、アカマツ、イチョウと日本の針葉樹が揃うことになりました。
日本で一番多い木は無論イチョウではなくスギでしょうが、ドイツで一番多い木はトウヒ(26%)で、マツ(23%)、ブナ(16%)、オーク(10%)、シラカバ(4%)と続き、全体としては針葉樹が57%、広葉樹が43%となっています。オークはカシとナラの総称で、ドイツにあるオークはヨーロッパナラ(学名:Quercus robur)といわれるものです。ドイツの国樹として親しまれ愛されている木で、葉のついた小枝が少額硬貨の裏面に見られます。一番人気のあった硬貨はユーロが導入される前のマルクの時代の50プフェニヒ硬貨で、裏面に若い女性がオークの苗木を植えているモチーフが見られました。第二次世界大戦後、当時のドイツ銀行が50プフェニヒ硬貨のためのモチーフを募集したのですが、ある彫刻家がすでに描いてあった夫人の裸体画スケッチに質素な衣服を描き加え、オークの苗を手に持たせて応募。戦後の復興の一環としての植樹というテーマと次世代を担うシンボルとしての若い女性という絶妙な組み合わせでこの応募作は即座に満場一致で採用されることになります。そして影をなす体の輪郭線がその後の鋳造でもはっきりと見え、あたかも透けて見えるような着衣との評判を取るようになってさらにこの硬貨の人気に拍車がかかることになりますが、直径2cmほどの小さな硬貨からはおよそそのようなイメージは出て来ないです(添付写真をごらんください)。
なお彫刻家はこの作品で、数百万人ともいわれた大戦直後の廃墟の瓦礫取り片付けを手伝う女性および再植林に従事する女性森林労働者を称えたかったと述べています。彼は最初の硬貨が鋳造されて間もなく他界し、長い間この50プフェニヒ硬貨の女性の正体は謎につつまれていましたが、1980年代後半になってテレビでこの女性が紹介され、遅まきながら有名になったことについて、つつましく喜びと感謝の念を語っていたようです。この方は長寿で2004年に90歳になる少し前に亡くなりました。
蛇足ですが女性が刻印された流通硬貨というのはドイツでは後にも先にもこの硬貨だけということです。








