
アロエと聞くと皆さま何を思い浮かべるでしょうか?ヨーグルトに入っているアロエ。火傷のときに付けるアロエ。それとも、化粧品に保湿剤として入っているアロエエキスなどなど。このアロエは、ユリ科の常緑多肉多年草です。園芸用も含めると、その品種はなんと500種類以上もあります。この種類の多さは、アロエの生命力の強さゆえで、環境にあわせてその形態を変えながら適応していく力があるからです。
日本では、キダチアロエ・ケープアロエ・アロエベラの3種類がよく知られています。日本で最もポピュラーなアロエは、キダチアロエで、鎌倉時代にポルトガルの宣教師が日本へ持ち込み、キリスト教の布教と共に全国に普及し繁殖したと考えられています。アロエは基本的に暖かい地方の植物ですが、キダチアロエは日本の気候に適応した寒さに強い品種になっています。ケープアロエが日本に入ってきたのは、アロエの原産地のひとつである南アフリカのケープ港から、ペルシャ商人が中国に持ち込み、そこから日本に持ち込まれたといわれています。また欧米では、アロエといえば一般的にアロエベラのことを指すほどポピュラーなものです。
昔から日本では、アロエのことをイシャイラズ(医者いらず)と呼んでいました。これは、アロエが万能薬として効果が秘められているからといわれています。その葉や、葉汁は内服すると胃の痛みや便秘に効果があり、外用すれば火傷や傷・虫刺されに効果があります。アロエの歴史は古く、古代エジプトのピラミッドから発見された医学書「パピルス」には、既にアロエの名が万能薬として記されていました。また、哲学者のアリストテレスはアロエが自生しているソコトラ島を占領するように、アレクサンダー大王に願ったそうです。その後、アレクサンダー大王はアロエを遠征時に持ち歩き、兵士の怪我の治療や病気の予防に役立てたため、彼が占領したすべての土地にアロエが伝わっているともいわれています。
ちなみに我が家にも、子供の頃からキダチアロエがありました。火傷をしたときや蚊に刺されたときなどに、このアロエをよく肌に直接塗っていました。私の父は、朝起きたらこのアロエをそのまま食べていました。でも、そのまねをして私も食べてみたことがありますが、とても苦いのであまりお勧めではありません。でも、ジュースに混ぜれば大丈夫かも・・・?皆さまもイシャイラズと呼ばれるほどのアロエを自宅で育ててみてはいかがでしょうか。冬の寒い時期の霜枯れにだけ注意をすれば、それほど育てるのが難しい植物ではありませんよ。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品研究開発員 宮地 博信