
暑い季節、人は本能的にさわやかさを求めて行動します。日本は四季がはっきりしていますから、日本人は繊細に五感をはたらかせて、暑さをしのぐ工夫をしてきました。味覚では冷麦、そうめんなどの口あたりが涼感を運んでくれます。聴覚へも風鈴の音色が精神的に暑さから開放してくれます。
この季節、嗅覚すなわち香りで選ぶならさわやかなシトラス系がお勧めです。今回はその中から万能なエッセンシャルオイルとも言われるベルガモットを紹介します。
ベルガモットの名前は、イタリアの都市ベルガモに由来しています。言い伝えによるとコロンブスがこの木を発見したのちイタリアやスペインにもたらされ、ベルガモで初めて栽培されたとか、初めて売り出されたとか言われています。しばらくはその近隣の地域での民間療法に使われていたようで、地名がしだいに植物名として定着していったのでしょう。
ベルガモットオイルはベルガモットオレンジの果実の皮を圧搾して得られます。ベルガモットオレンジの果実は苦味が強く食用には向きませんが、その薄めの果皮から得られるオイルには非常にさわやかな芳香があり、万能なエッセンシャルオイルとして広く利用されています。ちなみにシソ科で英名をベルガモットという植物がありますが、これは香りがベルガモットオレンジに似ていることから名付けられたようです。
ベルガモット油の香り付けでよく知られているのが紅茶のアールグレイです。フレーバーティーの一種であるアールグレイは、イギリス王室をはじめヨーロッパ各国の王室も愛飲したフレーバーティーの元祖的存在。その人気の秘密はベルガモット油の香りが放つ心へのはたらきかけにほかなりません。このエッセンシャルオイルには、心を鎮静させ、冷却し、リフレッシュさせる性質がありますので、アールグレイティーを飲むと落ち着いた気品を実感し、清々しい気持ちになれるのは、ベルガモット油のアロマテラピー効果によるものなのです。ストレスの多い社会において、神経の緊張、うつ状態、イライラや不安を感じているとしたなら、さっそくベルガモット油をお試しあれ。入浴時や睡眠時に用いることで、蒸し暑い熱帯夜も心配事が気になって寝つけない夜も、心地よい眠りへとあなたをいざなってくれると思いますよ。付け加えると、ベルガモット油には虫除けの作用もありますので、真夜中の蚊の襲来にも効果的です。快適な睡眠のお供にはベルガモット油がお勧めです。
夏を少しでも快適に過ごせるかどうかは、ちょっとした知恵や工夫で変わってくるものです。今回のコラムでヒントになることがもしもあったら、まず実行してみてはいかがでしょうか。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品会社責任技術者 佐藤 博