
植物は、太陽のエネルギーをオイルという形に変化させ、その果実や種子に蓄えます。植物から抽出されたオイルは、この太陽の熱やエネルギーを凝縮させたもので、植物に不可欠なエネルギーそのものなのです。
アロマセラピーではこの植物油を、マッサージなど皮膚に直接精油(エッセンシャルオイル)をつける場合に希釈するために用います。精油の濃度を調節し、精油を皮膚に運搬する(キャリア)働きがあるので、この植物油のことを、キャリアオイルと呼びます。
植物油を抽出する方法は、基本的には圧搾法で、なかでも高熱や高圧をかけない冷搾法のものがおすすめです。不自然な加熱や高圧処理、また、化学溶剤を用いると、冷搾法に比べ多量のオイルが抽出できるのですが、自然のバランスが壊れて目には見えないエネルギーが低くなるので、品質面で劣ってしまいます。さらにおすすめは成分バランスのとれた、一番搾りのものです。
よく話題になるのが、“精製”ですが、これはとても難しい問題です。といいますのは、全く精製していないオイルは自然の不純物が混じっているので肌に刺激となりますし、化学的に精製されすぎているオイルは、植物油のもつエネルギーが損なわれているともいえます。簡単に言えば、精製は必要だけれど精製方法や度合によりけりということです。ただ、この精製の内容をチェックするのは難しいため、どのメーカーのキャリアオイルを選ぶかについては、ブランドとして信頼できるところを自分で見つけそのメーカーのものを使用するのがよいでしょう。
アロマセラピーでは、精油が主役でありキャリアオイルは端役として扱われがちですが、実は肌への効能効果がとても高く、肌の若さを保つために優れた働きをするものなのです。ここで植物油の働きを簡単に説明します。
- 水和作用(モイスチャー効果)
お肌に水分潤いの効果を与えるということです。水分潤いには化粧水など水ものを使用と思いがちですが、実は化粧水はつけた直後はよいのですが、時間が経つと蒸発する際に肌の水分まで奪ってしまい、逆に乾燥させてしまう場合があるのです。植物油は肌自身が水分をしっかりと保持する働きを助け、潤いのあるみずみずしい肌を保つのです。 - 閉塞作用(保護効果)
お肌の表面にオイルの温かなヴェールをつくって、肌を保護する効果です。肌を外部刺激から守り、また、肌から水分が蒸発するのを防ぎ潤いをキープします。 - 必須脂肪酸含有(肌への栄養)
人の体内で作ることはできないけれど、肌の若さと健康を保つために重要な必須脂肪酸(リノール酸やリノレン酸など)を含んでいます。例えば、ローズヒップ油(ワイルドローズ油)は80%も必須脂肪酸を含有しています。 - 活性酸素除去(老化防止)
植物油には、活性酸素の生成を妨げる働きもあり、肌の老化を防ぎます。
ヴェレダでは基本的に、一番搾りで、野生や有機栽培の植物油が使用されています。
アロマセラピーでマッサージオイルを作る際にも、キャリアオイルとしての植物油の働きを熟知して、また、個々のオイルの特性を理解して使用してください。個々の特性については「植物油について2」でご紹介しています。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
英国ITEC認定アロマセラピスト 市川 恵美子