
「植物油.1」では、植物油全体の特性についてお話しましたが、ここでは使いやすく、特徴的なオイルの特性についてご紹介します。
●スイートアーモンド油
浸透性が高く肌にしっとりと馴染み、非常に使いやすいオイル。皮膚の鎮静、緩和作用があり、かゆみや炎症を緩和します。ほとんどのタイプの肌に使用できますが、特に乾燥、老化肌に向いています。ビタミン、ミネラルを豊富に含みます。
●ホホバ油
浸透性とのびがよく、保存期間も長いので(開封後9~12ヶ月ぐらい)使いやすいオイルです。人間の皮脂に近い成分構成ですので、スキンケアにも最適です。あらゆるタイプの肌に向いています。成分的にはオイルではなく液状ワックス=ロウで、10℃以下で固まる性質がありますが、固まった場合は湯煎にかけて溶かせば再度使用できます。
●アボカド油
アボカドは近年日本でも食用によく用いられるようになりましたが、“森のバター”と呼ばれるほど栄養が豊かです。肌に使用した場合でも、豊富に含まれるビタミンやミネラルなどで、肌に栄養を補給します。ちょっと重めで強い香りがするため、他の軽い感触のキャリアオイルに10~25%くらい混ぜて使用すると、乾燥肌や老化肌に最適なブレンドができます。
オーストラリアのアボカド農園に行くと、アボカド油100%のものが化粧品としてお土産に売られているほど、スキンケア効果が高いのです。
●オリーブ油
オリーブ油は、消化がよく血液をさらさらにし、老化や発ガン防止になるということで知られ、調理にもよく用いられるようになりました。
他の植物油と違い、種の部分でなく果実の部分からオイルが搾られます。スクワレン、ビタミンA、ビタミンEなどの栄養素を豊富に含み、抗炎症作用があるため、荒れた肌や乾燥肌に有効です。紫外線をカットする働きもあります。
●ローズヒップ油(ワイルドローズ油)
人の体内で作ることはできないけれど、肌の若さと健康を保つために重要な必須脂肪酸(リノール酸やリノレン酸など)を80%も含んでいます。近年になってようやくバラの実の中の固い小さな種の中に含まれるオイルの抽出が可能となり、皮膚科の分野で傷痕の回復などの肌再生に対する効能が報告され、化粧品の分野でも用いられるようになりました。その成分バランスの良さ、効能の高さなどから、とても高価なオイルです。皮膚細胞の機能回復効果が高く、シワ・シミ・炎症などに効果的で、老化肌にも適しています。
●カレンドラ油
ヨーロッパで古くから薬用植物として親しまれるカレンドラ(トウキンセンカ)をアーモンド油などの植物油に浸してつくられる、“浸出油”です。すぐれた抗炎症作用があるため、肌荒れ、創傷、湿疹、あかぎれなどに最適です。
この他にもたくさんスキンケアに活用できる植物油があります。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
英国ITEC認定アロマセラピスト 市川 恵美子