
カミツレは、ヨーロッパが原産のキク科の植物です。カミツレの白い可憐な花の香りは、リンゴのようなフルーティーな香りにたとえられます。その香りから、ギリシャ人はカミツレを「カマイ・メロン」(地面のリンゴ)と呼んでいました。この「カマイ・メロン」から英語名のカモミールが生まれました。カミツレは和名ですが、別名カモミールやカモマイルといても親しまれているハーブです。カミツレは大別すると、ジャーマン種とローマン種の2種類に分けられます。日本では、ジャーマン種の方が多く用いられ、特に岐阜県大垣市が日本国内の栽培地として最も大きく有名です。
カミツレは、古くから「植物の医者」と呼ばれていました。このハーブは、イギリスの絵本作家ポターによる「ピーターラビットの童話」にも登場します。野菜を食べ過ぎておなかを壊したピーターラビットに、お母さんがカミツレを煎じて飲ませたという場面です。このハーブには、胃腸を整える作用があるので、下痢や腸にガスがたまっているなどの不快な感じがする時に使用すると、症状が改善されすっきりとします。その他にも、カミツレにはニキビや肌あれ、敏感肌など皮膚のトラブルに対しても効果があります。
また、カミツレの精油には、主要成分としてアズレンが含まれています。アズレンは、精油を蒸留するときに形成される成分で、非常にすぐれた抗炎症剤として薬や化粧品に配合されています。特にアレルギーによって起こる様々な症状を鎮静するため、最近では花粉症のかゆみを抑える目薬にも使用されています。この精油は、様々な効果があるにもかかわらず、非常に毒性が低いことも重要な特徴です。そこで、お年寄りやお子様に対してとても安心して使用することができます(ただし、妊娠初期の人は、使用しないようにしてください)。
さらに、カミツレのエキスは、美白作用があることでもよく知られ、このエキスはお顔のシミ・ソバカスを予防します。最近ではハーブキャンディーに配合されているのもよく見かけます。
疲れた体を回復させるために十分な睡眠が必要な時、カミツレのハーブティーは、気持ちを静かに落ち着かせ眠りに誘ってくれることでしょう。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品開発研究員 宮地 博信