
フェンネルという名は、ラテン語の「フォエヌム」という」干し草を意味することばに由来しています。中国では漢字で「茴香」と書き、和名はウイキョウと言います。このセリ科の植物の原産国は、地中海地方の沿岸地域で、今ではヨーロッパの各地に自生しています。背丈は、1.2~1.5メートルほどの高さになり、葉は大きく明るい緑色をして、黄金色の花を咲かせます。
フェンネルは、別名「魚のハーブ」と言われるほど魚料理と相性がよく、魚の臭みを消し適度にスパイシーな香りをつける特徴があります。また、カレーやスープなどのスパイスとしてもよく使用されます。
古代エジプト時代に著されたとされる医学書のパピルスには、約800種類のハーブの処方箋が記載されていましたが、フェンネルもその中に含まれていました。「フェンネルがあるのに摘まないのは愚かだ」と言われるくらい、このハーブは多くの効能を持っています。その種子には食欲を抑える働きがあるため、ローマ時代において、兵士たちが長い行軍の途中で食事の準備ができないときには、この種子を食べました。また、女性たちはダイエットの特効薬として愛用したそうです。いつの時代も女性の悩みは変わらないものですね。また、種子から取れるフェンネル油は、非常に優れた浄化剤で、体内に摂取しすぎたアルコール飲料の毒素を取り除く効果があるため、二日酔いに効果抜群です。この精油には、優れた利尿作用もあるため、水分の滞留に問題があり肥満の原因になっている人には、とても効果があります。さらに、フェンネル油は、エストロゲンと似たような働きがあるために、内分泌系を活性化することや出産後の授乳時の乳量を増加させることもよく知られていることです。
フェンネルのハーブティーは、消化障害に使用するのに適しています。腸内に溜まったガスを取り除いたり、消化を助けたり、腸の働きを正常にさせる作用があります。また、このハーブティーには、口臭を抑える効果も期待できます。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品開発研究員 宮地 博信