
オレンジは、皆様よくご存知の果物ですが、原産が中国ということは意外に知られていないのではないでしょうか。中国では、何世紀も前からオレンジが化粧品を作る際の原料として使用されてきました。また、中医学では、乾燥した果皮が咳、風邪や食欲不振のときに用いられています。現在では、いろいろな国で栽培されていますが、日本ではアメリカ産、特にカリフォルニアやフロリダのオレンジが食用として一番有名です。エッセンシャルオイルを採取するオレンジは、アメリカ産以外にも地中海産のものがあります。
オレンジが化粧品原料として使用されるのは、主にそのエッセンシャルオイルです。このエッセンシャルオイルは、採取する部位によって名前が変化します。花から水蒸気蒸留法で採取したエッセンシャルオイルはネロリと呼ばれ、花1トンから約1キログラムしか採取できないため、非常に高価で貴重なものです。ネロリという名前は、これを自分のお気に入りの香水として手袋に使用したイタリアの公妃の名前「アンネ・マリー・ネロリ」に由来していると言われています。次に、その葉や小枝から水蒸気蒸留法で採取したものはプチグレンと呼ばれます。その名前は、昔果実がまだ緑色をしていて小さいときに摘み取って使用していたため、「小さい穀物」という意味のプチグレンの名前が付きました。今では、緑色の果実ではなく葉や小枝から採取しています。最後に、果皮から圧搾法によって採取したものはオレンジと呼ばれます。
オレンジのエッセンシャルオイルは、手軽にいろいろな場面で使用することができます。仕事をしている時にイライラしてどうしても落ち着かない。そんな時には、ティーカップにお湯を入れ、オレンジのエッセンシャルオイルを1滴たらして、臭覚を刺激してください。柑橘系のさわやかな香りがさっと広がりすっきりとした気分になります。また、気持ちが高ぶって眠れない時には、お風呂に2~3滴加えゆっくりと温まります。フルーティーなやさしい香りに守られ気持ちが落ち着いてきます。少し面白い使用方法としては、車の中や玄関などの空気の清浄にコロンとして使用してみてください。温かみのある香りが充満します。
オレンジのエッセンシャルオイルの香りは、新しい行動への意欲を育てます。寒い冬が終わりを告げ、だんだん暖かくなり始める3月は、新たな行動を開始するのに適した季節です。朝目覚めたら、オレンジのアロマバスに入って気持ちをすっきりとさせると朝ごはんもおいしく食べられ、よいスタートを切ることができるでしょう。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
植物化粧品開発研究員 宮地 博信