
パンジーはヨーロッパ原産の多年草です。その名は、フランス語で「思い」を意味する「パンセ」に由来するといわれています。パンジーは、19世紀に入るとヨーロッパ各国で盛んに品種改良が行われるようになり、今では多種多様な品種が生み出されています。もともとは、花径が2cmくらいですが、現在では品種改良により10cm以上のものまであります。日本では春の定番の花として親しまれ、サンシキスミレと呼ばれています。こう名付けられた時代のものは黄・紫・白の3色になります。しかし、現在では品種改良により赤、青、黒など多くの色が見られるようになりました。また、その花が人の顔に似ているところから人面草とも呼ばれています。
パンジーの花のエキスは、浄化作用、血行促進作用、抗炎症作用があることから、ヨーロッパにおいては古くから皮膚病に効く民間薬として使用されてきました。また、そのエキスを内服すると、去痰作用があるため気管支炎などにも効果があるとされていました。さらに、利尿作用もあるため泌尿器の病気などにも有効とされてきました。
パンジーは恋の媚薬としても活用されてきました。この花は、シェイクスピア原作の有名な「真夏の夜の夢」に出てきます。この物語の中に、眠っている間に花の汁をまぶたに塗ると、目覚めた時に一番初めに見た人に恋をしてしまうという一説があります。この花こそパンジーなのです。また、シェイクスピアは「ハムレット」の中でも、オフィーリアとその兄の会話の中にパンジーを「もの思う花」として登場させています。
さて、この花には本当に媚薬となる効果があるのでしょうか? もし、あるならぜひその効果を使ってみたいですね。ヨーロッパでは、パンジーをバレンタインデーに贈る習慣もあるようです。来年の2月には好きな人にチョコレートとともにパンジーの花を贈ってみてはいかがですか? 花言葉は、「私を想ってください」ですよ。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品開発研究員 宮地 博信