
ローズヒップは野バラの一種です。野バラは、およそ生育に適さないような土壌、例えば乾いた芝生、石の山、さらには夏の山間の乾ききった小川の川床といった場所でも繁殖し、その生命力(バイタリティー)には目を見張るものがあります。
こうした場所での生育を可能にしている条件は十分な日光と風です。そのバイタリティーの源は根にあり、地中深く根ざして深部の水分を取り入れる一方で、枝が地面浅くに這い、地上が焼かれても再び力強く芽を出すほどの生命力を持っています。
夏になると赤い花が咲き、秋になって花が散ったあと大きな実が形成されます。実の中には種子が含まれ、この種子から得られるオイルがローズヒップ油です。ローズヒップ油はやけど・切り傷などに効果があるといわれ、ヨーロッパでは昔から民間療法に使用されてきました。
アロマセラピーにおいて、ローズヒップ油はキャリアオイルとして使用されています。
とても高価なオイルなので、少量をホホバ油やスィートアーモンド油に混ぜて使用するとよいと思います。ローズヒップ油は、すぐに皮膚に浸透するためベタベタ感を感じさせません。このオイルは、必須脂肪酸であるリノール酸およびリノレン酸の含有量が高く約80%も含有しています。特にダメージ肌、疲れた肌や日焼けした肌に適していて、皮膚を再生する手助けをします。
また、その実にはビタミンCをはじめB・Eなどを含みとても栄養価が高く、民間療法では乾燥させた実のお茶(ローズヒップティー)は風邪薬としてヨーロッパでは普及しています。このように色々な効果があるので、ローズヒップは別名「ハーブの女王」とも呼ばれ、日本でも昨年の春頃よりテレビや雑誌などでもよく取りあげられるようになっています。すでに「このハーブなしの生活が考えられない」なんていう人もいるのではないでしょうか。
特に、これからは日差しがだんだん強くなる季節です。今年の夏は、肌の外からローズヒップ油でスキンケア、肌の内側からはローズヒップティーでケアしてみてはいかがでしょうか。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
植物化粧品開発研究員 宮地 博信