
一般に「セージ」と呼んでいるハーブは500種以上の変種がありますが、今回は和名で「コモンセージ」または「ヤクヨウサルビア」と呼ばれる古来より薬用として用いられている「セージ」について紹介します。
このセージは和名にもヤクヨウ(薬用)サルビアと記される通り非常に薬効に富むハーブです。葉は常緑、5月から9月に紫の花を咲かせ、一年を通して鑑賞する楽しみがあります。薬用としては葉の部分を利用することがほとんどで、セージの別名サルビアの語源は『治療する・救う』という意味のラテン語Salvareからきており、イギリスには『長生きをしたければ、5月にセージを食べるとよい』ということわざもあります。殺菌、止血、健胃、喉頭炎・扁桃炎の治療などの効果があり、歯肉の炎症・口内炎の治療にも優れ、英国薬草薬局方においては、口、舌、喉の炎症の治療薬としてセージが収載されています。 そのほか、薬用としての使用方法で知られているのは、制汗剤としての利用です。セージは突出した制汗効果をもつハーブですので、これからの季節は非常に有用です。
このように薬用として優れたセージは17世紀頃にオランダ人から中国人へと取り引きされたといわれていますが、中国人はヨーロッパのセージ1ポンドを中国産の最高級茶3ポンドとで喜んで交換したそうです。この逸話からもセージの薬用としての重要性が伺えますね。
薬用としての利用のほか、料理への利用でも大変知られています。「ソーセージ」という言葉がセージから来ていると言われていますが、昔はソーセージの肉の防腐のためにセージを一緒に練りこんだそうです。また、防腐目的だけでなく肉の臭みを抑える香り付けの意味合いもあったようです。今日でも、臭みをとる目的でハンバーグなどの料理に用いられるほか、ソースやドレッシングにも使われています。また、薬用効果を料理に応用した例として、脂肪分の多い料理にセージを加えることで、その健胃作用により消化を助けることに用いられることもあります。
セージはこのように効果の多いハーブのひとつですが、妊娠中や授乳中の人には摂取が多すぎないように注意が必要です。セージに含まれるツヨンという精油成分は、経口摂取すると中絶作用などの毒性を生じることがありますので、濃いセージティーを何杯も飲んだり、セージを含んだサプリメントを飲み続けたりすることは避けてください。この点を除けばセージは非常に有用で、最後にそれを物語るもうひとつのセージにまつわるヨーロッパのことわざを紹介します。『庭にセージを植えている家には病気で死ぬ人がない』。あなたもチャレンジしてみてはいかがですか。5月はちょうど種まきにいい季節です。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品会社責任技術者 佐藤 博