
クリスマスの代表的な風物のクリスマスツリーは、一般的にはモミの木が使われています。
一説にクリスマスツリーの起源は、キリスト教より古いローマ時代に欧州各地で行われていた冬至祭にあるといわれています。冬至は、一年のうちで昼の時間が一番短くなる日で、その後日増しに昼が長くなっていきます。この日は新しい太陽の誕生を祝う日ですが、暗い闇に閉ざされ大地の生命力が弱くなっています。この時期、人々は、太陽の復活を願って火を燃やし、収穫への感謝と大地の再生を祈って常緑樹を飾ったといわれます。常緑樹のモミの木は、冬でも葉が落ちず、永遠の生命を象徴するものとして、崇拝の対象とされていました。
では、なぜクリスマスツリーにモミの木が使われるようになったのでしょうか。それは、中世に行われていた聖書をテーマにした劇に由来するといわれています。聖夜に降誕祭の序幕として、教会の正面玄関の前で、楽園における堕罪の物語を演じた、中世の「神秘劇」がそれなのです。この劇には、アダムとエヴァ、悪魔、楽園を警護しているケルビムが登場し、舞台には罪の誘引となった果実をつけた「木」が立てられていました。ドイツにおいてはりんごの木が用いられ、りんごが「禁断の木の実」として定着しました。しかし花の咲いているリンゴの木を12月24日に見つけるのは困難だったので、他の木を探した結果、常緑樹のモミになりました。それで、教会の前から人々の家の中に入ったクリスマスツリーは、モミの木にリンゴをぶら下げるようになったというわけです。
ぜひ、今年のクリスマスは、モミの木にいろいろな飾り付けをして目で見て楽しみ、さらにモミのエッセンシャルオイルをアロマランプに数滴おとし、香りも楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考図書:「クリスマスの起源」O.クルマン著
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品開発研究員 宮地 博信