
あなたは、「ゴマ(胡麻)」と聞いて何を思い浮かべますか?みなさんが今まで耳にしたことのある言葉の中にもいくつかありますよ。「開けゴマ!」これはアラビアン・ナイトに出てくる扉を開ける呪文ですよね。ゴマは実が熟し蒴果(さくか)の部分が乾燥すると「パチッ!」と音を発しながら弾け開く様が言葉の語源とされています。他に「ごまかす(誤魔化す)」という言葉があります。これは「ごまかし(胡麻菓子)」が基で、文化・文政年間(1804~1830)、江戸にあったお菓子で「小麦粉にゴマを混ぜて焼きふくらませたもので、中は空洞だったことから「外見だけよくて内容の伴わないもの」 → 嘘、偽りと同類の意味として使われるようになりました。みなさんは「ごまかし」のない本物を見極める「目(め)」を養ってくださいね。
余談はそれくらいにして、今回のテーマは「ゴマ」です。その「ゴマ」について少しお話ししましょう。原産地はアフリカとされる説が一般的で紀元前3000年以前にはすでに栽培が行なわれていたようです。古来よりその栄養価の高さは体感的に認知され高価に扱われ珍重されてきました。日本へはシルクロードを通って伝来し、縄文後期と推定される遺跡からも「ゴマ」が出土しています。
ゴマ種子の50%以上は脂質でオレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸がその大半を占めています。次いでたんぱく質が20%と豊富で、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB群(B12・葉酸を除く)の含量も比較的多く、カリウム、カルシウム、鉄分、亜鉛などのミネラル類も豊富に含んでいます。また、最近何かと注目されているゴマリグナンも1%程含まれています。
■化粧品への配合
化粧品へは「ゴマ油(Sesame Oil)」としてスキンクリームやミルクローション、マッサージオイルなどに配合され、肌にうるおいを与え、血流促進、抗酸化、アンチエイジングなど効果が期待されています。
■食品としてのゴマ
ゴマには豊富な栄養素が含まれていますが、その中で最近脚光を浴びている成分として「ゴマリグナン」があります。またの名を「セサミン」といいます。
その効果は・・・
- 抗酸化作用(成分が肝臓まで届き抗酸化力を発揮 = 活性酸素除去 = 肝機能改善、美肌効果、老化防止など)
- さらにビタミンEとの相乗効果によりダイエット効果(悪玉コレステロール減少、コレステロール値の低減など)があります。
■体内摂取のポイント
ゴマは「ゴマ」として摂取する場合、心掛けるポイントがあります。ゴマそのものは硬い殻に覆われていてそのままでは胃酸に溶解されにくいため、消化されずに排出されがち。そこで食べる直前にすりつぶし食すとGood!相乗効果を期待してビタミンEと一緒に摂ればVery Good!継続的な摂取でVery Very Good!です。また、それらを含んだサプリメントも出回っていますのでお好みに合わせて選択してくださいね。
■ゴマの栽培は来年6月
ここまで読むとプランターなどで栽培したいと思う方もいらっしゃるのでは?
ゴマは比較的簡単に栽培できます。発芽適温は20℃以上(標準地域6月)高温・多照を好み、寒さに弱い。まだまだ暑い日が続きますが季節はもう秋です。残念ですが今年は見送り、来年まで辛抱強く我慢するのが賢明でしょう。
種子は種苗屋さんや最近ではホームセンター、インターネット通販でも見かけますが、季節がら取り扱っていない場合もあります。黒ゴマ、白ゴマ以外にセサミンが豊富な品種もあるようです。興味のある方は来年チャレンジしてください。健闘を祈ります。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
農業研究家 山口 浩