
スローベリーという果実については、日本人の皆様にあまりなじみのない果物かもしれません。しかし、お酒(特にカクテル)の好きな方は、スロージンの原料としてよくご存知だと思います。スロージンとは、スローベリーを漬け込んでつくったリキュールのことです。鮮やかなローズ色をしていて、甘酸っぱいスローベリーの香りと、その優雅な風味が特徴です。このお酒を使った代表的なカクテルが、喜劇王の名前に因んで付けられたチャーリーチャップリンです。その作り方は、スロージン・アプリコットブランデーとレモンジュースを同量ずつ混ぜてシェイクします。オンザロックで飲むのがおすすめで、華やかな中にも苦味のきいた飲みやすいカクテルです。
話が脱線してしまいましたが、スローベリーはバラ科の植物でプラムの一種です。日本では一般的に西洋すももと言われています。スローベリーの木は、根を奥まで伸ばし乾燥した土地に生息しています。この木は、ゆっくりとしたテンポの成長を保ちながら、60年もの間生息します。その花は、5年おきに開花しアーモンドのような匂いがします。スローベリーの花は、他の木々と比べて開花の時期が早く、人々に春の訪れを感じさせます。果実は開花の初期段階から時間をかけて成長し、気温が零下まで下がらないと本格的に熟しません。この間ゆっくりと熟成するため、果実には弱っている時や療養中に新陳代謝を活性化させる自然のフルーツ酸やタンニン成分が多く含まれます。これらが、身体的や精神的な疲労の回復に効果があります。イギリスでは、昔からスローベリーを庭に栽培し、ジンにつけ込んでスローベリー酒を作ってきました。そして、このお酒は胃の調子を整えたいときなどに飲まれてきました。スローベリー酒は、日本の梅酒のような感じで飲まれてきた家庭酒です。
スイスのヴェレダ社に隣接してあるイタ・ヴェークマンクリニックでは、時々自然食品の即売会があり、当たり前のようにスローベリーのジャムが売っています。日本では見かけないこの果実のジャムも、ヨーロッパではポピュラーなジャムです。甘酸っぱいさわやかな風味をぜひ味わってみてください。ただ、最後に渋みが口の中に残りますが、この好き嫌いは人それぞれ分かれるでしょう。
上記は植物の一般的な性質を述べたもので、化粧品の効能を示したものではありません。
自然化粧品開発研究員 宮地 博信