先回のコラムでウィーン・レオポルド美術館で催されている「男性ヌード」展について書きましたが、読者の皆様方にあたかも我々夫婦がヌーディスト(裸体主義者)であるような印象を与えてしまっているという報告がありました。まことに遺憾ですので、事情を説明いたします。
事の発端は1月下旬の日本のネットのニュース(ロイター)で、このヌード展のことが報道されたことです。記事は「男性ヌード展を裸で鑑賞できる」という見出しで始まり、「裸になって裸を見よう」と続き、ヌーディスト・クラブの要請を受けて美術館側が了承し実現したという内容です。これだけを読めば、展覧会の会期中には会場での衣服の着脱がいつでもどこでも自由であるかのような印象を受けるのは必至で、我々がヌーディストに混じって作品を鑑賞したと疑われても不思議ではありません。しかしこの記事には、重要な事柄が全く記されてないのです。
実際にはヌーディストがこの美術展を裸で鑑賞できたのは2月18日の18時からだけで、入場が許されたのは30人。そしてこれらのヌーディストの観賞に支障を来さないようにとの配慮で、(のぞき魔を含むかもしれない)一般人はシャットアウト。ヌード展は3月4日まで開催されていますが服を着ていないと入場できませんよ、と地元のオンライン英字新聞オーストリアン・タイムスは注意を促しています。
いずれにせよ後味の悪いコラムになってしまいました。お口直しに『ミュージアム・フンデルトヴァッサー』という、これもウィーンにある彼の美術館(常設展あり)のことを記します。フンデルトヴァッサーは日本でも馴染みが深い芸術家で、非常に興味深い作品を多く残していますが、小生がいちばん面白いと感じているのが彼の建築作品です。とにかく見ていて楽しくなるのです。添付した写真はその美術館の裏正面なのですが、真冬のことで木々が落葉してしまってるので、建物の特徴がよくわかります。美術館の周辺は無愛想な建物が多く、いささかすさんだ印象しか受けないのですが、この美術館はまるで砂漠のオアシスのようなものです。そして外観だけではなく階段や喫茶店など建物内の細部にまでフンデルトヴァッサーの特徴がよく示されています。
フンデルトヴァッサーが遺した建築物は自身のミュージアムだけではなく、学校、ホテル、温泉施設、共同住宅、ゴミ焼却場と多岐にわたります。大阪の舞洲にあるゴミ焼却場も彼の作品ですが、かような芸術作品をよくもまあガメついことで定評のある大阪人が建てたものだと感嘆せざると得ません。当時はその奇抜さで住民の反感を買ったようですが、今は新しい観光名所になっているとかで、当時の担当者に先見の明があったということでしょう。またオーストリアの片田舎の小さな温泉村(Bad Blumau=バート・ブルーマウ、人口約1600人)では主な建物がすべてフンデルトヴァッサーによるものとかで、村に入った途端、おとぎの国に迷い込んだような気分になるのではないでしょうか…なんとか都合をつけて一度訪れたいものです。








