そろそろ夏の休暇の計画を立てておいでの方もおいでかと存じますので、ドイツの隠れた名所、エクステルンシュタイネ(Externsteine)を紹介します。日本の数ある「ドイツ・ガイドブック」にはまず載っていないでしょうし、旅行業者が企画するドイツ巡りツアーにも選から洩れていますので、この名所をご存じの方はおいでにならないはずです。
エクステルンシュタイネはドイツ北西部のリッペ(Lippe)地方の『トイトブルクの森』の中にある奇形の岩の集まりで、今からおよそ7000万年前に生じた山地形成によって平地にあった砂岩が垂直に押し上げられてできたと考えられています。中部ヨーロッパにおけるもっとも重要な自然および文化遺産とされていますが、謎が多いことでも知られています。森の中の比較的小さな岩の周辺に石器が発見されたことから、今から一万年前には自然の岩屋根のようなものがあったと推察されているのですが、それ以降は紀元後8~9世紀のカロリング王朝の時代まで、考古学的な考証はないのです。したがいまして多くの推測がなされてきました。
聖地であったとか、一番高い岩塔(写真1の左から二番目、高さ約40m)に古代ゲルマンの女性祭司が幽門されていたとか、崇められながら幽門されていたのは宇宙からのお告げを感知するため地面に触れてはならなかったからとか、こういった類の伝説奇説がまことしやかに流布していたようです。
高所恐怖症の家内を地上に残し、岩塔の階段を上がってみましたら(写真左上に梯子のような階段が見えます)、たしかに祭壇らしきものはありました(写真2)。方角からすると南のように思えたのですが、この円形の穴は何を意味するのだろう…と考えたりしたものの、他の観光客が大勢いたせいで「何か霊的なものを感じることができるかな」という淡い希望が叶わなかったのは残念でした。といいますのも最初にこの名所の名前を聞いたときに、エクステルン(extern=外部からの)とシュタイネ(steine=石の複数形)の組み合わせと勝手に解釈し、「外部からの石」→「隕石」→「宇宙からのメッセージ」→「スピリチュアル」という妄想的連想をしたことがその布石になっていたのです。家に戻って調べましたら、実際は18~19世紀に使われていたエッグステルシュタイネ(Eggsternsteine)という名前に由来するようで、Eggsterのいうのはこの地方の方言で「長い丘の背」という意味ですので、Eggstersteineとは「長い丘の背の石」ということになります。隕石とは関係なかったということでいささかがっかりしました。
この岩群を起点としていくつかの散策道が森の中にあり、南ドイツの森とは違った趣があってよかったです。一番長いコースで1時間半ほどで、途中に休憩できる木製の波型寝椅子が設置してあり、しばし転寝しておりました。
しかしこの隠れた名所もかなり辺鄙なところで、最寄りの街がデトモルト(Detmold)です。フランクフルトから列車で4時間、ベルリンからでも3時間半ほどかかりますので日帰りはおすすめできません。デトモルトもいい街ですので、一泊二日でデトモルト&エクステルンシュタイネ見物においでになるのがよいと思われます。








