今日は物理的原理が基盤となっているインテリアを二つご紹介いたします。
一つはガリレオ温度計で、家内の妹の義母が認知症で施設に移ることになり、義母の家を売却するにあたって所帯道具を全部処分した際にガリレオ温度計が見つかり、家内の妹が「これは義兄(小生のことです)にピッタリのがらくただ」と断言したため小生のところに回ってきました。勘違いも手伝って図らずもガリレオ温度計が二つ居間に揃うことになったのですが、とにかく見ていて楽しくなるのです。
円柱型のガラス容器に小さな球体が5つ入っていて、各々に温度を示す金属製のタグ(2℃間隔)がついています。球体の位置によって室温がわかる仕組みになっているのですが、6月下旬のある日の午後チェックしましたら左のカラフルなのが19℃、右の義妹が持ち込んだ古いのが23℃とかなり違う結果が出ました。正確な温度は21℃で、どちらも温度計としては精度に欠け、さらに17℃以上29℃以下のみ測定可能ということで実用性は低いですが、温度によって球体の位置が変わるという面白さは十分楽しめます。
もう一つはストームグラスで直訳すれば嵐のガラス、意訳すれば嵐を予兆するガラス製品。
くわしくはよくわかりませんが、おそらく温度によって変化する結晶を楽しむインテリアで(写真右:高さ20cm)中には水やアルコール、樟脳、無機塩などが入っています。オリジナルは円柱形ですが水滴形の方がデザイン的にすぐれていると判断し、東京在住の知人の結婚祝いに購入したついでに家内にも土産として日本からドイツに持ち帰りました。箱を開けた家内は大いに落胆した様子で「こんなつまらないものを結婚祝いに贈ったの?呆れたわね!」と言いながらとりあえず居間の整理棚の上に置いたのですが、たしかに容器の底にふわふわとした沈殿物はあるものの結晶とは言い難い。解説によりますと
(1)容器内の液体が澄んでいる場合は晴
(2)液体中に浮遊物が見られると曇で降雨もありうる
(3)小さな星状のもので液体が濁ると嵐が来る云々
とあり、19世紀には航海士が天気予報に用いたと記されているのですが、「まさか…航海中の船はかなり揺れるはずだし、結晶の析出は非常に繊細な現象なので揺れに対して超敏感なはず…まともな予報なんて出せっこない。信じられない!」と家内の表情は失望で曇る一方です。で、調べてみましたら物好きなドイツの某大学の化学者が、一年以上にわたってこのストームグラスの信憑性を試した結果、結晶と天候の確かな関連性は見られず、天気予報は不可能であったと専門雑誌に発表したようで、家内のストームグラスに対する不信感は絶対的なものとなりました。
ところが数日後に、日中気温が前日の20℃から10℃に下がったこともあってか、容器の底のふわふわの沈殿物の上に針状の見事な結晶が析出したのです。さらに液体表面に形成された結晶が緩やかに降りてくることを目撃して、曇る一方だった家内の表情が一変して晴れてきました。興味の対象が「天気予報」から「結晶の形」にすりかわり、日に日に大小様々な結晶が増えて面白くなったのか、家内は毎日ストームグラスを観察しています。夏から秋、冬にかけてどのような結晶の変化を見ることができるのか、今から楽しみです。
ガリレオ温度計といい、ストームグラスといい、本来の機能を十分果たすとは言い難いシロモノですが、デジタルの温度計や晴雨計にはない『ゆかしさ』があり、拙宅の居間のささやかなアクセントとなっています。








