とある思想書を読んでいまして、行き当ったのが「クロムレク」(cromlech)という単語です。別名ストーンサイクル、和訳は「環状石列」で、多数の立石を環状にならべたものです。古代遺跡にしばしばみられるもので、一番大きくて有名なのはイギリスにあるストーンヘンジです。
クロムレクはメンヒル(一本の長大な石を立てたもの)、ドルメン(数個の石で墓室を作り上に石板を載せたもの)と並んで新石器時代(紀元前7000年~3000年)の巨石文化の一つで、これら三つの巨石遺跡はヨーロッパにおいてはアイルランド、イギリス西部、スウェーデン南部、ドイツ北部、フランス、スペインおよびポルトガルの海岸線、アフリカ北部、地中海の諸島、そしてジョージアといった海に近い地域に見られます。
しかし別の文献によればこれらの巨石文化は世界各地に見られるという記述があり、クロムレクは日本では北海道から近畿地方まで見出されているようです。なぜクロムレクが日本にあるのか、どのような経緯で日本に入ったのかと疑問に思うことで、小学生のころから興味があった日本人のルーツというテーマを図らずも思い出すことになりました。
今から半世紀以上前の当時、どこかの図書館で「日本人のルーツには二種類ある。ひとつは蒙古系で、もう一つはインドネシア系。違いは耳垢が乾いていれば先祖は蒙古系、湿っていれば先祖はインドネシア系である」という説を読んで「ボクはインドネシア系なんだ」と子供心に漠然と納得していたのです。
そしてクロムレクなのですが、①ヨーロッパ北部からシベリア、日本まで分布しているという説と②世界各地に見られるという二つの説があります。①だとしたら、日本人のルーツは蒙古系でも(蒙古は砂漠で巨石などない)インドネシア系でもない(クロムレクはインドネシアよりはるか北方の巨石文化である)ように思えます。②だとすれば世界各地で偶発的に存在した巨石文化ということになりますが、矛盾はないものの説得力に欠けますし、何よりロマンがありません。やはり考古学にはロマンがないといけません。
クロムレクは墓地であったという説が主流のようですが、石の配置に天文学的な意義があったとする意見に一票投じたいと思います。
冬至や夏至を察知する必要があっただろうことは容易に想像できます。古代の人間には現在の人間が喪失してしまった多くの直感的な能力が備わっていたはずですし、これらの能力が現代の科学で解明されるのか今後の成果を期待したいところです。
日本のクロムレクでは秋田の大湯と、青森の三内のものが著名なようです。いつか訪れてみたいところがまた増えました。








