日本ではまだ残暑がきびしい季節かと思いますので、今夏の小生の納涼体験をご報告いたします。
7月の中旬から8月上旬まで日本で仕事をしていました。東京で気象台始まって以来とかいう暴力的な暑さの日に、当然の偶然で東京にいまして、さすがにコタえました。東京のみならず名古屋、大阪、広島でも猛暑は同じで、なにか納涼の方法はないかいな?と考えていた矢先、大阪で納涼ならぬ納寒に出くわしました。
所は心斎橋、大丸から50メートルほど南、日時は天神祭の前日すなわち7月24日午後16時すぎ(現場検証済み)、浴衣を着流した若い女性がフラフラと小生の方へ歩いてきたのですが、この女性を見た瞬間、『凍』の感触が背筋を走りました。
浴衣は左前で、白っぽくて少々はだけ気味、青白い顔面に白粉がまばらに施されていて、眼のまわりに黒いアイシャドウがこってり塗ってある。これでもしヘアバンドに白い三角の紙が張ってあれば紛れもない幽霊。「うわっ、出たっ!!」と口には出さなかったものの(出せなかったといったほうが正しい)、驚愕のあまり立ちすくんでしまいましたら、先方は人ごみの中をフラフラと戎橋方面へ漂い流れて行きました。
悪い白昼夢を見たのかと思いましたが、足はたしかにあった(ような気がしました)し、混乱した頭を整理するためとりあえず喫茶店に入り、しばし沈思黙考に耽りました。幽霊でなかったとすると何だったのかということになるのですが(1)「幽霊」という名の納涼ぼったくりバー、もしくはお化け屋敷の宣伝ガール?否、∵(=「なぜならば」という算術記号です)チラシもなにも配っていなかったし、浴衣の襟や背中にもそういった宣伝文句が入っていなかった(2)パフォーマンスを狙うゲイジュツ家?否、∵歩き方がだらしなく、動くゲイジュツといった趣は皆無であった(3)俗悪テレビ局の娯楽番組の悪企み?否、∵半径3m以内ではテレビカメラマンは同行していなかった(4)酔っぱらい?否、∵アルコール臭は感知できなかった(5)賭けに負けて扮装を余儀なくされた女?否、∵こんなことを賭ける人間なんて到底考えられない(6)酷暑性精神異常症候群患者?可、∵上記のように消去法を用いるとこれ以外残らない。巾着の中に折りたたみナイフが隠されていて、精神的状態によっては無差別に通行人に襲いかかるのでは・・・と誇大妄想しただけで改めて背筋が寒くなってきました。
納涼ならぬ納寒を数時間、無料で堪能させてくださったこの見知らぬ女性に、この紙面を借りて厚くお礼申し上げます。








