5年毎にドイツのカッセルで催されるドクメンタ展、今回はテーマが「ギリシャに学ぶ」で4月から6月までアテネ、そして6月~9月までカッセルという二都開催。意表を突く作品との出会いを楽しみに3泊4日でカッセルに出向きました。
メイン会場はカッセルの街のど真ん中にあり、トラムを降りるといきなり目に飛び込んできたのが、スチールパイプで組み立てたパンテオンと同じ大きさの建築作品。近づいてみますと柱には無数の本がビニールで固定されています。
そしてこのパイプ神殿の近くには土管をドカンと積み上げた作品があります。何かいわくがあるに違いない思いながら接近しますと20個の土管の中は居間、書斎、寝室、シャワー、洗面所などいろんな生活空間になっているのです。
ギリシャがテーマということもあり、この狭い生活空間を見てディオゲネスを連想したのですが、この作品を出展した芸術家はクルド系イラク人で、逃亡中に数週間土管の中で潜伏することを余儀なくされた記憶を鮮明にするため、カッセル美大の学生の協力を得て制作したというのです。そんな背景がこの作品にあるとは知る由もないです・・・小生の横でこの作品を見ていたドイツ人が連れとおぼしき友人に向かって、「あ、これと同じものが日本にもあるよ!」と得意そうに話していましたが、どうやらカプセルホテルと勘違いしているようです。
屋外でもう一つ、インパクトの強い作品がありました。ガーナ人が公の建物二つを使い古しのジュート袋ですっぽりと被ったのです。大きな建物を布で被うというと、かの有名な梱包芸術家クリストの独擅場ですが、コーヒー豆などの搬送に用いられる、いわばグローバル化された経済のシンボルであるジュート袋を使用することで、クリストとは一線を画す意図があるらしいです。隣接する塔の上からジュートに被われた建物二つを見ますと、まるで木のモザイクのようです。なお手前の建物が州立博物館の一部、向こう側の建物は州の行政裁所で、ジュートで被われているにも拘わらず役人が勤務しているというのには驚きました。
そして思いがけず再会したのが、先回つまり5年前に出会って感嘆した作品です。前と同じ場所にポツンと立っていて石が枝に乗っかっているのですが、この枯木が実はブロンズ製なのです。
くわしくは第100号のコラムをご覧ください。先回の会期が終わった後、てっきり撤去されると思っていただけに再び見ることができて心が和みました。もうひとつの再会はこれも100号コラムで紹介しました街はずれのホテルの屋根に取り付けられたベッドです。このベッドがいまだにホテルの屋根に取り付けられたままというのには唖然としてしまいました。なおこのベッドはドクメンタ展とは無関係と思われます。
館内にも興味深い作品が沢山ありました。次の機会に記したいと思います。








