今年9月中旬、家内が針鼠を拾ってきました。「拾ってきた」といいますと訝る方がおいでかと思いますが、勤務先の社員食堂の入口の前の石畳にじっとうずくまっている小さな針鼠を家内が目ざとく発見。同僚たちは見て見ぬふりをして通り過ぎていくのに憤慨して、針鼠に接近しますと針鼠は動きません。そっと撫でてやると少しだけ体を動かしましたので、たまたま持っていた小さな布袋に針鼠を入れ、自宅に持ち帰ったという次第です。そしてすぐに獣医のところへ持ち込み、蚤取粉をぶっかけてもらったまではいいのですが、翌日から3泊4日の小旅行を家内と二人ですることになっており、4日間針鼠を預かってくれるところを獣医に訊ねましたら、数軒教えてくれまして、そのうちの一人が旧知でしたのでその日の夕方、段ボールに入れた針鼠を強引に先方に持ち込みました。
そして4日後、件の針鼠を家内が引き取りに行きましたら、先方から「うちの裏庭に入り込んだ小さな針鼠がいるんだけど、他にも針鼠がいるので面倒みきれない。一匹世話するのも二匹世話するのも同じだし、ついでにもう一匹引き取ってくれない?見たところ大きさはほぼ同じだし・・・」と言われ、勝手に承諾。小生には事後報告でしたので、針鼠が倍つまり二匹になったのには驚きましたが、有無を言わさず承諾を強制させられました。
当初は二匹を同じ段ボール箱に入れていたのですが、家内が拾ってきた針鼠(越冬第4号と名付けます)よりも知人から押し付けられた針鼠(越冬第5号と名付けます)の方がはるかに威勢がよく、体当たりを喰らわせたり、餌を独占したり、日を追うごとに第5号の狂暴ぶりが目に余るようになりましたので、これはまずいということで写真のような二階建ての飼育用の檻を調達し、雌を上の階、騒がしい雄を下に入れて家内が観察を開始しました。下の写真の右端の部分が就寝用の小屋です。
そうこうしているうちに第4号が雌、第5号が雄と判明し(そうだとは予想しておりました)、夕刻に檻を掃除して新しい新聞紙を敷いたあと、餌を置くことが日課となりました。夜半、針鼠が小屋から出てきて餌を漁り、当たりかまわず餌皿にまで糞尿をまき散らし、新聞紙をめくりあげるので翌日は相当な悪臭です。
下の階の第5号(雄)は、夕方に餌が出ることを理解したのか、餌を与える前に檻の中の小屋から出てくるようになりました。出てくるたびに家内は猫なで声で話しかけ、「なついた」と勝手に喜んでいたのですが、ある日糞尿まみれの新聞紙を取り出し、新しいものに取り換えて、あろうことか小屋から出てきた針鼠の鼻先を指で触れたのです。鼻先が湿っていれば健康だということらしいですが、針鼠の方は頓着せず、家内の指をくわえてしまいました。どうやら指先に餌の残りが付着していたようです。噛まれたわけではないのは幸運でしたが、これがなついたことの証明になるのかどうか疑問です。
11月に入ると「自然に帰すか、檻のなかで越冬させるか」という難しい選択に迫られることになりました。9月中旬は200gあるかないかだったのですが、11月に入った時点で700gとなり、体重的には自然に帰すのが可能と思えたのですが、檻の中で毎日餌を充てがわれていたものですから自然の中で餌を見つける術を持たないわけで、餓死する可能性が大と判断し檻の中で冬眠させることにしました。
11月下旬に小生が日本出張から戻りましたら、上下二匹の針鼠はすでに冬眠に入ってしまっていました。11月に入った段階で、家内がちぎって丸めて檻の中に投げ入れた大量の新聞紙をせっせと小屋の中に運び込み、本能的に冬眠に備えていたようです。冬眠から目覚めるのは4月上旬でしょう。針鼠二匹との再会を今から楽しみにしています。








