先だってコーネリアが見慣れないジャガイモを持ってやってきました。
“Bamberger Hoernle” 直訳すれば「バンベルクの角」という名前のジャガイモでバンベルクというのはドイツ南東部にある街です。角というだけあって普通のジャガイモのいびつな丸い形とは違い、小さめで細長いのが特徴です。コーネリアが借地の畑で栽培したとかでサラダにするとおいしいと言いますので試してみることにしました。
ドイツといえば誰しもソーセージとジャガイモを連想しますが焼いたソーセージにジャガイモのサラダを添えると確かに美味です。ただ北ドイツと南ドイツではジャガイモサラダに大きな違いがあり、ここでは南ドイツのジャガイモサラダについて記します。
まずジャガイモですがドイツでは大きく分けて(1)茹で上がりが固め、(2)少し固め、(3)柔らかめの3つのタイプがあり、南ドイツではサラダには茹で上がりが固めのジャガイモを用い、マヨネーズを使わず、基本的にはオイル、ビネガー、塩コショウで味付けをします。拙宅ではこれにみじん切りにしたタマネギとコンソメスープを加えており、ドイツ南西部のシュヴァーベン地方では一般的なものです。ジャガイモは数ミリの厚さに輪切りにしますので、切った際に形が崩れてしまわないよう茹で上がりが固めの物を使いますが、時には形崩れすることがすることがあります。その点、「バンベルクの角」は小さくて長めですので輪切りにしても型崩れすることが少なく、普通のジャガイモと比べても確かに美味です。また小さめですので、茹でた後のまだ熱いうちにジャガイモの皮をむかねばならない際にも、大きめのジャガイモに比して少しラクです。蛇足ですが熱いジャガイモの皮をむく場合、写真のようなジャガイモをキープする優れものがあります。ふつうはジャガイモをフォークで刺して皮をむくのですが、ジャガイモが大きい場合、刺して持ち上げた時点で崩れ落ちることがあります(特に茹で上がりが柔らかいジャガイモの場合)。しかしこのスグレモノはフォークと違い先端が非常に細く尖っていますので、崩れ落ちることはあまりありません。




で、美味しいジャガイモが見つかって喜んでいたのですが、コーネリアから分けてもらう量には制限があります。スーパーでは入手できませんので通販で調べましたら25㎏単位で購入すると納得できる価格なのですが、25kgなんてのは拙宅では半年分の必要量ですので購入不可能です。目下他の購入方法を調べているところです。
ジャガイモは南米が原産国で17世紀の中ごろにスペイン経由でドイツにもたらされたという説があり、18世紀のフリードリヒ大王による飢饉回避のための「ジャガイモ令」で普及しました。当時の農民はジャガイモの形を見てリンゴを連想したようで、現在でも南ドイツではジャガイモを「Erdapfel=地中のリンゴ」という呼び方をしており、小生の住むシュヴァーベンでは訛った言い方で「Grombiera=Grundbirne=土壌のナシ」と表現されています。いづれにせよ当時のリンゴもナシも今日のようなエレガントな果物ではなく、いびつな形で厚い茶色の外皮を持っていたことからこのような名前がついたのだろうと考えられます。
日本のジャガイモはおしなべて茹で上がりが柔らかいものではないかと思います。日本のポテトサラダではマヨネーズが用いられますので、感じからすると北ドイツのジャガイモサラダに近いのかもしれません。