家内と小生にとってアイフェル火山群というのは、地質学的な興味は大いにあるものの、グミュントからは遠くも近くもない(約400km)半端な距離にあり、数週間の休暇を取って出かけるほどでもないという理由で等閑になっていたのですが、7月下旬に一週間の休暇がとれましたので出向いてみることにしました。
アイフェル火山群はドイツ中央西にあり、トリアー(Trier:ドイツ最古の都市として有名)とコプレンツ(Koblenz:ライン川とモーゼル川の合流地点にある都市)の間におよそ100kmにわたっています。火山群はダウン市を中心とする西部とマリアラーハ(Maria Laach)を中心とする東部でかなり様子が違っていました。
西部火山群には火山湖がたくさんあり、猛暑の中ダウン(Daun)市郊外にある著名な3つの湖を巡るハイキングコースを部分的に5時間かけて歩きました。起伏に富んでいましたので予想以上に時間がかかりましたが、塔の上から見た火山湖はきれいでした(写真右上に見えるのがダウン市です)。

西部火山群から東部火山群に移動する途中、エルツ(Eltz)城に立ち寄りました。この城はノイシュヴァインシュタイン(Neuschwanstein)城、ホーエンツォラーン(Hohenzollern)城と並んでドイツ三大美城の一つとされ、旧西独の500マルク紙幣に印刷されていた城です。専用駐車場から山中を歩くこと20分とかなりの距離を歩かされましたが、突然目前に現れた城には威厳がありました。12世紀の建造以来一度も陥落したことがなく、創建当時のロマネスク様式の姿をとどめているだけあって、小生の個人的な意見では三大美城の中ではここが一番です、中はガイド付きで見学できるようになっていますが撮影禁止は残念でした。

東部火山群で印象に残ったのが、ヴィンガート(Wingert)の火山絶壁。クルマで砂と灰が舞い上がる道を10分ほどノロノロを走り、たどり着いたのですがスケールの大きさに圧倒されました。高さは数十メートルで長さが週百メートルほどでしょうか。解説パネルがたくさん立ててあって、素人にはちと詳しすぎる内容でしたが大いに参考になりました。一目で地質学者といった趣の3人連れがいてハンマーとルーペを手に岩石をみながら品定めをしていましたので、倣っていくつかの石を拾ってきました。

次の日に出向いたのが少し離れたヘルヒェンベルク(Herchenberg)。「鉱滓火山」の標識を見落としてしまい、遠回りしてしまったのですが無駄足ではなく、二つの方角からこの興味深い火山の噴火口(らしきもの)をみることができました。


この火山口は今から約1万3000年前の火山噴火によって生じたようなのですが、グミュントの南西およそ240kmのところに、カイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)という、1600万年ほど前に度重なる火山噴火によって形成されたといわれる山地がありまして、アイフェルとは歴史が桁違いですので噴火堆積物の横縞模様は見ることはできないでしょうが、この地は特異なフローラとファウナが著名でアヤメやムスカリが繁殖しハチクイやカマキリが生息しているとのことですので、近いうちに訪れてみたいと思います。