本題に入る前に、前号コラムの訂正とお詫びです。
薬剤師の小澤裕子さんから、「白鳥が豚になってました」というご指摘があり、「しまった!余計な『イ』が紛れ込んでしまった!」と遅まきながら気づきました。ドイツ語でシュヴァンが白鳥でシュヴァインが豚ですので、白鳥城が豚城になってしまっていた次第です。小澤さんに感謝し、読者の皆様にお詫び申し上げます。
かねてから家内が「夜間、ウチの庭には一体どんな動物が跋扈しているのだろう・・・知りたいな・・・」と口にしていたのですが、自称プロの動物写真家マリオ(註:長男です)から「夜間撮影が自動的にできるカメラを買えばいいよ。被写体が動くと即シャッターが切られる、そんなに高いものでもない」と教えられて直ちにこのカメラを購入。買ったものの使い方がよくわからず、マリオが拙宅を訪れた際に詳しく説明してもらい、一晩に千枚以上の写真が撮れるようになりました。

写真の大半は猫、針鼠、ドブネズミで想定内ですが、胸白貂(ムナジロテン)は意外でした(写真左)。胸白貂は当地では一般的な貂で、冬の夜など外に駐車しているまだモーターの温かいクルマのボンネット内に入り込んでコード、ホース、緩衝材などを齧る習性があり、少なからぬ弊害をもたらしますので非常に嫌われています。アライグマ(写真右)は谷の向こう側にある村によく出回り、被害が出ていると聞いていましたので、さほど驚きませんでしたし、貂と違って容姿に愛嬌がありますので、容認することにしました。
毎晩餌を食べにくる針鼠にも変化がありました。家内が庭に設置した丈夫なプラスチックの箱(縦30cm横30cm高さ25cm)に一匹の針鼠が居を構え始めたのが6月中旬。夜9時~翌朝6時ごろまで遠出をして、日の明るいうちは巣に戻って就寝というパターンは既知です。が、9月に入ってやたら多くの葉や枝をくわえて持ち帰るようになり、「出産したのかな?もしそうなら嬉しいな。」と家内がそわそわし始めました。ずっと針鼠の子供を見たいと切望していたものの庭に住み着いた針鼠の雌雄は不明で、どうかな?と思っていましたら、ほどなく体長5~6cmの小さな針鼠1匹(家内の推定では生後約3週間)を夜間カメラがとらえました。そして数日後には4匹となり、さらに数日後には大胆にも日中巣から出てくるようになりました。
日中気温が20℃を越える日が続き、4匹の子供が母乳を飲もうと母親に絡まって離れず、巣が小さくなったこともあるのでしょうか、「暑いし狭いしうるさいし、かなわん」とばかりに昼過ぎに親子そろって巣の前に出てきまして、母親がドタッと仰向けになり、授乳タイムとなりました。一部始終を観察していた家内が「よかった、やっとのことで子供の針鼠を見ることができた。しかもウチの庭で生まれたんだよ!最高にラッキー!」と大喜びでしたが、その3日後の夕暮れに、母親が3匹の子供を引き連れて、巣を後にするのを偶然家内が目撃しました。「もう戻ってはこないだろうな・・・」という家内のカンは当たり、それっきりです。家内の腑に落ちないのが、母親に連れられて出て行ったのは3匹で、当初は4匹だったということです。「あまり小さいので見捨てられたのか、あるいは十分大きいので自ら母親と別れて自立したのか、どちらかだろうな」と小生が勝手にいい加減な推測を立てましたら、「そうだろうね」とうなずいていました。望むらくは3ないし4匹の小さな針鼠が11月上旬までに越冬に耐えうる体重をクリアすることです。
