電子レンジは日本、ドイツを問わず、非常に普及している家電のようです。冷めた食事を数分のうちに熱くするとか、冷凍食品の解凍といったところがその本来の役割ですが、10センチ四方の特殊ポリ袋に密閉された、熱冷両用の湿布ジェルを説明書にしたがって電子レンジに入れたら破裂し、レンジ内を掃除するのに骨が折れたという話をラボの女性から聞き、電子レンジというのは、やはり物騒なシロモノだと思っていましたら、たまたま見た当地のテレビの科学クイズ番組でかなり物騒な実験をやっていたのには驚きました。2例紹介します。
1.ココナッツを手っ取り早く割る方法はどれか?
A:電子レンジ,B:電気洗濯機、C:電気鋸。
正解はA。ココナッツは殻が厚く固いとはいえ、内部に水分を十分含んでいます。電子レンジの電磁波でこの水分が加熱されて水蒸気となり、その蒸気圧にココナッツの厚い殻が耐えられなくなると破裂します。これはヤバイと思って見ていましたらすごい爆音がして、電子レンジは木っ端微塵にはならなかったもののガタガタになり、ココナッツ爆発の破壊力をまざまざと見せつけられました。たしかにココナッツは割れましたが、割れ方が尋常ではありません。電子レンジ、恐るべしです。
2.フィラメントの切れた電球を電子レンジの中央部に立てておいて、電子レンジのスイッチを入れるとどうなるか?
A:電球が灯る、B:爆発する、C:何もおこらない。
正解はB。この実験も強烈でした。フィラメントが切れているにもかかわらず電球が灯ったのですが、どうも様子が違う。電球全体が灯っていて異様といえる明るさ…と思っていましたら電球が爆発しました。切れたフィラメントが熱の媒体となって電球内のガスを熱し、ガスが発光したのですが、過熱でガスが膨張し爆発したというわけです。
番組中、「この実験を家庭でやらないでください」と司会が言ったり、プロットを流したりしていましたが、見ていて面白い番組には違いありませんが、どうも度が過ぎるようです(そこがこの番組の高い視聴率の原因なのですが)。好奇心旺盛な小学生がこの番組をみて、「うん、これは面白い」とか言いながら、手元にあるもの片っ端から電子レンジに入れてスイッチをひねったらえらいことになります。しかし電子レンジの穏やかでユニークな使用法もあるようで、「20秒でゆでたまごができる」というのがこの番組で紹介されていましたが、要注意。たまごをそのまま電子レンジに入れて加熱すると破裂します。で、適切な容器に生卵を移して電子レンジにかければたしかに20秒でゆでたまごができるようなのですが、湯呑のなかのゆでたまごなんておよそ食欲をそそらない。ゆでたまごは殻をむいて食べるからいいのだと思うのですがどうなのでしょう。
ご家庭で電子レンジをご使用の皆様、凶器となりうる電子レンジを安全かつ平和にご利用くださいますよう老婆心、いや老爺心から警告申し上げます。