一番好きな街は?と訊かれて即答するのがウィーンです。
音楽がそれこそ溢れていて、コンサートなどは枚挙にいとまがありませんし、音楽だけではなく他の芸術、たとえば絵画ではクリムト(9月中旬まで神戸でこの画家のいい展覧会があります-クリムト 1900年ウィーンの美神展 場所:兵庫県立美術館「芸術の館」)、シーレ、ココシュカ、あたらしいところではフンデルトヴァッサー(この人は建築でも有名)、フックス、ブラウアー、彫刻ではフルドリチュカなどというすごい芸術家が脈々と連なっています。博物館の内容も充実していて見ごたえがあります。
また市内には一世を風靡したハプスブルグ王朝ゆかりの建築物があり、ベートーヴェンやシューベルトなどの著名な作曲家のかつての住まいが記念館として保存されていて、街中には19世紀のロマンの香りが今もなお漂っています。これは他のヨーロッパの大都市では感知できないものです。
ところでウィーンの人間なのですが、とにかく排他意識が強いのです。同じオーストリア国民であってもザルツブルグやインスブルックからの人間は感覚的には外国人とあまり変わらない。シュトラウスのワルツに「ウィーン気質」というのがありますから、ウィーンの人間のプライドの高さ、これはもう昔からのもののようです。
ところが日本人には比較的愛想がよくて、小生が留学していた60年代には、第二次世界大戦に従軍していた人がまだ役所などに結構いて、滞在許可証をもらうため日本のパスポートをみせると、しかめっ面が急に温和になり、小声で「今度はイタリア抜きでやろう。そうしたら絶対勝てる」などと物騒なことを言い出すので仰天してしまいました。
またこれは知人から聞いた話ですが、深夜クルマを飛ばしていてスピード違反で捕まったが、日本のパスポートを見せたらそのまま見逃してくれた。ところがその後ろを走っていた外国人も同じくスピード違反で引っかかったが、こちらはしこたま罰金をとられたとかいうことでした。
ウィーン人には現在でも親日派が多いと思います。日本人女性を伴侶にしているオーストリアの著名人はかなりいます。また70年代だったかと思いますが現皇太子がウィーンに留学されたことがあり、その際ビオラでウィーンフィルのメンバーと弦楽カルテットの共演をされたことがありました。翌日の新聞は「英国の皇太子は楽器を演奏できるか?」というタイトルでまず英国王室をこき下ろし、日本の皇室を大いに持ち上げていました。
そして最近では小澤征爾氏のウィーン国立歌劇場就任の快挙があります。これがもしドイツ人指揮者だったらどうだったんだろうなと考えてみたくなりました。ドイツ人はウィーンで甚だ嫌われていますから。








