今月のテーマのサマータイムはガーシュインの不朽の名曲の「サマータイム」ではなく、毎年3月最後の日曜日深夜にドイツで実施される夏時間についてです。今年は先月26日の午前2時がいきなり3時になったのですが(カットされた1時間は10月最後の日曜日に戻ってきます)、今回のコラムはこの制度について記してみたいと思います。
ヨーロッパでこの制度が本格的に実施されるようになったのはフランスが音頭をとった1976年で、1980年にドイツとオーストリア、1981年にスイスというように順次欧州各国に広まって行きました。サマータイムを導入することで日照時間が長くなり、省エネになるというのが狙いだったのですが、この背景には1973年のオイルショックが当時もなお長い影を落としていたことがあります。
しかし結論的には省エネにはつながらず、逆に時間変更にともなう手間と出費がかさんで不合理なことが判明したにもかかわらずいまだにサマータイムが採用されている理由は、長く明かるい夏の夜を一般庶民が好むからであるとされています。また、サマータイムによって日がより長くなった夏の間の交通事故の数がノーマルタイムの夏に比してはるかに少ないので、サマータイムは交通安全に貢献している、というメリットもあります。
とはいえ、まだ冬ともいえる3月下旬にいきなり朝1時間早起きしなければならないというのはコタえるもので、疲れてだるい日が続き、体がこのサマータイムに慣れるのに数日から一週間かかります。この数日間に交通事故が多発するのですが、ドライバーの睡眠不足による疲労だけではなく、サマータイムを解しない鹿や猪が交通量の多い時間帯に路上に飛び出すことも原因です。また、農家の乳牛もサマータイムを解しない類で、ミルクを搾ろうとしても起きない。ぶっても蹴飛ばしてもなかなか起きない。牛にとっても1時間というのは大きいのです。おまけになだめすかして搾ってもミルクの量が少ないので農夫にとってメリットは皆無。サマータイムにチェンジしたあとの一週間は人畜有害です。
で、当然ながら毎年この時期にサマータイムの是非が論じられるのですが、ドイツではサマータイム支持者は減る一方で最近の調査では51%となっています。10年ほど前に「言いだしっぺ」のフランスがポルトガルと共にサマータイム廃止論を唱えたことがありましたが、さすがにこれは「いまさら何を!」とばかり他の国から一蹴されました。年に2回、時計の針を変更することにヨーロッパの住民はもう慣れてしまったということですがフランスというのはまことに自分勝手な国です。
日本では昨年、省エネを理由にサマータイムを導入するという法案提出の動きがあったということですが、北緯の高いフランスやドイツでさえサマータイムの省エネ効果がないとされているのに、あえて日本にサマータイムを導入しようとする方々の見解が理解できません。小生なら断固反対します(サマータイムの後遺症がまだ少し残っているからかもしれません)。








