今年もいよいよ最後の月、師走となりました。月末には今年一年の重大ニュースのトップテンが発表されるのが世の東西を問わず恒例となっています。
今年6月、ドイツのマスコミを騒然とさせたテレビ番組にオランダのテレビ局制作の『ビッグ腎臓提供ショー』というのがありました。年末の「本年度お騒がせテレビ番組トップテン」の上位に間違いなくランクされると思われますので、その内容を簡単に紹介します。
まずガン患者のリサ(37歳:女性)が、自分はまもなくガンで死去するので、死後自分の腎臓を提供したいと話しました。これに対して3人の腎臓患者が各々の腎臓の必要性を報告したのです。そして最後に、リサが3人のうちの誰かを選ぶというシナリオ。「自分の腎臓なのだから自分が選んだ人に提供したい…」ということなのでしょう。フォーラムの形でスタジオには聴衆が入り、視聴者はSNSを通じて参加できたのですが、ライブ放映前から番組の是非についてすさまじい物議が醸されたのです。反対論として、(1)とにかく非モラル、非倫理的、(2)リサの腎臓はすでにガン細胞に侵されていると考えられる、(3)視聴率稼ぎの安っぽいショー、(4)腎臓受取者のコンテストみたいで強い違和感がある、(5)ちゃんと待機リストがあるのだからそれに従って腎臓提供が行われるべき、(6)ドギツイ番組は見慣れているがこれはあきらかに行き過ぎ、といった意見が多く、放映前からマスコミに煽られたヒステリックな反対論が世論を支配していました。
しかし、あるひとつのグループだけがこのヒステリー現象を比較的冷静に受け止めていました。腎臓患者の会です。この会は、「このような番組は“国の健康保健省が提供腎臓の不足についてまったく対策を練っていない”ということを明確にしてくれる」と言うのです。「この腎臓不足の問題は何年も討議され、キャンペーンが催され、国会でも審議され、医師の声がまとめられてきたが状況はまったく変わっていない。我々は死ぬ以外にないのだ」と同会は述べ、これは放送局も主張するところで番組の正当性を訴えていました。
結局、世界各国からの猛烈な抗議を無視してこの番組は放映されたのですが、番組の最後に大きな大きなどんでん返しが待っていました。このリサという女性はガン患者でも、腎臓提供者でもなく、健常な女優だったのです。女優としてステージでリサを演技していたわけです。これを聞いた視聴者は唖然としたに違いありません。しかも3人の腎臓患者は本物で彼らは最初から、この仕組まれた番組について知らされていたというのです。あまり鮮烈に裏をかいた演出に小生は思わず「お見事!」と喝采してしまいました。
バツが悪かったのは一般人を反対論へと煽ったマスコミです。誰もこの仕組みを見抜けなかったのでしょうか?
番組放映後、数週間で12,000人の臓器ドナーの申し込みがあったそうです。普段は一ヶ月でせいぜい3,000~4,000人と言いますから、腎臓患者の会とテレビ局の思惑は当たったことになります。
さて、日本では今年一年でどのような「お騒がせテレビ番組」があったのでしょうか? 国民性からして、このような腎臓ドナーショーはおよそ出てこないでしょうね。








