あけましておめでとうございます。丑年ということで牛について駄文を記します。
ドイツ語では牛を表すことばにRind(牛の総称)、Kuh(牝牛、乳牛)、Bulle(去勢されていない牡牛、種牛)、Stier(Bulleと同義ですが主に星座、神話で使われます)、Ochse(去勢された牡牛)、の五つがあり、使い方もはっきり区別されます。このことからも牛という動物が日本よりは生活に密接していると思われます。しかし都会に住む子供たちにとってはやはり牛などという大きな動物を見ることはまれなようで、かといって動物園では牛など見ることができません。牛の絵を描かせると妙なことになり、話題になったことがあります。以下、その顛末です : スイスにSuchard(スシャール)という大手のチョコレートメーカーがありますが(このメーカー名をご存知の方は相当なチョコレートマニアということになるでしょう)、チョコレート名がMilka(ミルカ)というミルクチョコレートで、このトレードマークが乳牛です。乳牛といえば黒と白のブチと相場が決まっていますが、このチョコレートのトレードマークの牛はライラック色(薄紫色)と白のブチなのです。30年以上も前からこのメーカーはライラックと白のブチの乳牛をテレビのスポットで流して大成功を収め、チョコレートもさることながらこの乳牛の知名度を急速に深めていきました。そして10年ほど前にドイツのバイエルン州で40,000人の子供を対称に、農場を背景にした牛のぬり絵のコンテストを行うと、実に3人に1人がライラックと白のブチを描いたといいます。このバイエルン州はドイツの最南部にあり、バイエルン・アルプスがあって牛を有する農家の多い州です。この州でこの数字なのですから他の州では推して知るべしで、特に都会に住む子供たちに『乳牛という動物はライラックと白のブチである』という固定観念を植え付けてしまったに違いない、笑い話では済まされない、と問題視されましたが、大人でも『乳牛はライラック色』とまではいかなくても、『ライラック色の乳牛もいるみたいだ』と思っていた方がいたようです。
日本語では「牛」という言葉は漠然と、いろんな牛がそれほど明確に区別されずに使用されているような気がします。「牛に引かれて善光寺参り」という場合の牛はOchseのように思えますし、「牛肉」という場合はRindが相当します。ここで「こって牛」という言葉を思い出しました。力は強いが頑固で、気が向かないとテコでも動かないような御しがたい牛といった意味合いですが、ドイツ語にあてはめればBulleが近いでしょうか。小生の祖母が丑年の女性を評して『春の牛(春に生まれた牛)は温和で働き者で非常によいが、秋の牛(秋に生まれた牛)は「こって牛」なので、手こずる』と常々言っておりました。しかし「こって牛」というのはあくまで牡牛のことで、この表現は女性の評定としてははなはだ不適切です。おそらく本人は「こって牛」の性別を知らずにこの言葉を使ったのでしょう。
幸か不幸か、いままで春秋を問わず丑年の方とはおつきあいしたことがありませんので、明治生まれだった祖母の独断と偏見について小生の見解を述べることはできないのですが、信憑性皆無と断言して…おきます。








