ドイツ・ルール工業地帯にオーバーハウゼンという街があり、ここにはガソメーターという巨大な建物があります。いまからおよそ80年前にガスタンクとして建てられ、高さ117m、直径67mの大きな円柱形で、当時はヨーロッパ最大のガスタンクでした。第二次大戦で破壊されたものの再建され、1988年までガスタンクとして使用されていましたが、1990年代に改造され、1994年以降は多目的文化施設となり、展示会、コンサートなどが催されています。ルール工業地帯きっての観光施設とかねてから聞き及んでいましたし(ドイツ人による国内観光地人気投票で32位!ちなみに1位はケルンの大聖堂)、年末まで「太陽系の奇跡」という非常に評判の高い展示会が催されているということで、昨年大晦日の数日前、列車で片道4時間かけてオーバーハウゼンに出向きました。
駅から市電で5分、さらに徒歩5分のところにガソメーターがあるのですが、道標が不親切で迷いながら遠回りをしてなんとか到着。掘立小屋の切符売り場で入場券を買い、ガソメーターの中に入ったのですが、折からの厳寒で底冷えがします。野外の巨大ながらんどうですので当然ながら暖房などは入っていません。唯一暖房が入っていたのがガソメーターの外にある簡易トイレで、ガソメーターの底冷えに音を上げた人も暖を取りにきていて混雑していました。展示は平土間の1階と、ガスタンク当時の円盤状コンクリートの重石を床板に用いた2階で、この2階が昔の名残なのか鉄の支柱が方々にあってとても歩きにくい。おまけに照明を節約しているのか、暗くてよほど注意しないと頭をぶつけそうになります(ぶつけそうな箇所にはクッションが巻かれていましたが…)。寒すぎて見学は半時間が限界かと思ったのですが、展示会自体は秀逸。地球と人体には驚くほどの類似点があるという指摘や、惑星とくに金星についての新しい認識、天井からぶら下がる直径25mの大きな球状の月(エレベーターで天井近くまで昇れるので上からも見ることが可能)など興味深い事柄が多々あり、2時間近く、寒さに耐えながら展示会場にいる羽目になりました。そして展示会のカタログの見本をめくっていて、何気なく奥付を見ましたら、展示期間2009年4月1日~2010年12月30日とあります。同伴の知人に「プリントミスがあるよ!2009年じゃなく2010年て書いてある!」と言いましたら、「あんたのカン違い!私は駅の案内所でガソメーターのチラシをもらったときから気づいていたんだけど、展示会はあと1日じゃなくてあと1年やっているんだよ!わざわざ厳寒の時期にのこのこオーバーハウゼンまで出てきてバカみたい」とけなされ、自分の迂闊さにハタと気づいたのですが、1年半もやっている展示会なんて常識ではおよそ考えられないですよね。「しまった、だったら夏に来るんだった。そうすればもっとじっくり見ることができたのに…」と地団駄踏んでももう遅い。大いに後悔しました。
翌日、デュッセルドルフのK21という現代美術館でフリッチュ(Fritsch)の「悪夢」という強烈なインパクトの作品を見て大いに感心しました。就寝中の男性の上に巨大な鼠が立っているのです。本来はこの美術館で催されているサスナール(Sasnal)の特別展を見るのが目的だったのですが、特別展よりもこちらの方がはるかに印象深かったです。そして1999年からデュッセルドルフの名所となっているGehry-Bautenを見てきました。傾き具合が面白いですね。
宇宙の深遠さ、現代美術の面白さ、自身の迂闊さを、寒さに震えながら実感した二日間でした。








