先月は参議院選挙とワールドカップでにぎわった月でしたが、どちらにも予想占いとして蛸が登場していました。
まずワールドカップの方の蛸ですが、ドイツのオーバーハウゼンにある水族館にいる蛸で名前をパウルといい、ドイツの作家、彫刻家だったボイ・ロルンセンが好奇心の強い子供のために書いた詩集「蛸のパウル」に因んだということになっています。ワールドカップのドイツの試合のすべての勝ち負けを言い当て、さらに決勝のスペインとオランダの試合の勝者も当てて、おそらく世界中で一番有名な蛸になってしまいました。予言の顕示ですが、水中に二つの同一のアクリルグラスの箱を置き、対戦する国の国旗を貼って、蛸の餌を中に入れておきます。そして蛸が箱の蓋をとって餌を最初に食べた方の国旗が勝者となります。
実はこの蛸、一昨年行われたサッカーのヨーロッパカップでも予言蛸として取りざたされており、あのときはドイツが出た6試合のうち4試合の勝者を当てていましたが、肝心の決勝のドイツ対スペインのゲームでドイツの勝利と予言したにもかかわらずドイツが敗退。「やっぱりねぇ…」ということでしばらく忘れられていました。そして今回のワールドカップでカムバックとなるのですが、今回は準決勝での同じカードを含めて全部当ててしまった。グループリーグの3試合を当てた時点でまずドイツで評判となり、あとは日に日に脚光を浴びるようになり、たしか日本でも報道あるいは放映されていたと思います。
しかしマスコミがオーバーヒートする傍ら、各地でシニカルなコメントを出す学者もいました。 ある動物学者は『蛸の足というのはイボがたくさんあって非常に敏感な味覚器官でもある。そして貝のにおいが水中に拡散されると、蛸の餌の選択に大きな影響を与える。貝の大小も選択の対象となりえる。つまり蛸は美味そうな餌の方にいったまでの話』と解説。別の学者は『蛸は色を識別できないが偏光を認識できる。そして色の明暗を判別でき、水平方向にある物体を好む。しかるにドイツ、スペイン、セルビアの国旗は横線でこれらの国旗がしばしば選ばれたのである。スペインの国旗は横線が色彩的にはっきりしているし、セルビアのは明るい。つまり蛸は国旗で選んだ』と主張。そしてハンガリーの学者は『蛸というのは賢い動物で記憶力もあり、餌の入った箱を開けることもできるが、サッカーの専門家が前もって勝つチームを予測し、その国の箱に蛸の好物を入れたまでの話』 と決めつけましたが、この説には信憑性があります。といいますのもドイツのシンクタンクがまともな方法で優勝国を当てていたというニュースがあるからです。つまりこの頭脳集団は選手の市場価格をはじき出し、その和でもってスペインが一番高価なチーム、つまり優勝国と予言したわけです。パウルが予想を外したヨーロッパカップもこの頭脳集団はちゃんとスペインの優勝を予言して的中させていたということで、正直こちらの予言の方が蛸の予言よりも納得がいきます。
ワールドカップのパウルほど話題になりませんでしたが、日本でも「パウルに負けてはおれん」ということで参院選の前に、ある水産会社が蛸に参院選のお伺いを立てました。餌に「民主」と「自民」と書いた浮きをつけ、パウルと同じく先に食べた方の党が勝利ということだったのですが、この蛸は何時間も両方の浮きを離さず、あえて予想を解するとすれば「混戦」。ところが参院選は民社の大敗で、蛸の予言は当たりませんでした。字で書かず、民主党のシンボルマークをつけていたら日の丸二つが縦に重なっていますので、およそ水平方向とはいえず、上記の国旗選択説によれば蛸が寄り付くわけはなく、自民の方になびいたのではないかと思うのですが、自民党のシンボルマークってありましたっけ?あるいはドイツの予言蛸がオスで、日本のがメスだったことも関係しているのでしょうか?
蛸の寿命はせいぜい3年といわれています。パウルは一説では2008年にイギリスのウェイマスの水族館で生まれ、生後3ヶ月でドイツのオーバーハウゼンに移ってきたということになっていますが、別の説では2010年4月にイタリアの近海でおそらく生後4週間ぐらいで捕獲され水族館に運ばれたとなっています。最初の説が正しければ、パウルは遅くとも来年死ぬことになり、二番目の説が正しければ、2012年のヨーロッパカップを予言できますが、2014年のワールドカップは無理です。はたしてパウルの後任は出現するのでしょうか?








