2月というのは日本のみならずドイツでも一番寒い季節で、熱燗などで体を温める方も多いでしょうからアルコールの話をします。
ちょっと趣は違いますが熱燗というのはドイツにもありまして、グリューワインといい安価な赤ワインに砂糖とスパイス(チョウジやシナモンが主体)を入れて熱くしたものです。とても温まります。日本酒というのは猪口で嗜みますから、どれぐらい飲んだのかよくわからない場合が多いのですが、グリューワインはカップ(約200ml)で飲みますから飲んだ分量はふつう自覚できます。
……などと書きましたが小生はアルコールがほとんど飲めません。アルコールが飲めないというのは肝臓にアルコールを分解する酵素が欠けているからで、日本人を含めた東南アジア人に多く、3人に1人がそうだと言われていますが、ドイツでは皆無です。
このアルコール分解酵素を持たない哀れな人間がアルコールを飲むとどうなるかといいますと、ジョッキどころかグラス一杯のビールで顔面真っ赤で形相が著しく不気味になり、マントヒヒ顔負けの様相を呈することになります。さらに脈拍が非常に速くなり、足元がふらつき、さしづめふつうの人間が多量のアルコールを一気に飲み干したような状態になります。
この肝臓におけるアルコール分解酵素の有無について明らかになったのはたしか80年代に入ってからで、あるアメリカの学者が知人のマレーシア人女性がアルコール分を少し口にしただけで真っ赤になるのをみて興味を覚え、研究して学会に発表してから一般に認識されるようになったと記憶しています。
それまではこのような「現象」はもっぱらアルコールに対する鍛え方が足りないからだと言われていました。そんな迷信にふりまわされたのが70年代の小生で、毎晩グラス一杯(250ml)のワインを飲んでおれば一ヶ月で体内にアルコールに対する免疫のようなものができるというまわりの勧めもあり、実際にやってみたのですが苦痛そのもので、さっぱり効果が現れず、ひどい目に遭いました。
しかし何といっても情けないのはデザートにリキュールがふんだんに入っているときで、迂闊にも食べてしまいますと顔が赤くなります。アルコールフリーのビールを飲んでも顔が赤くなることはありませんがアルコールを感知してしまいます。アルコールフリーとはいえ0.3~0.5%程度のアルコールが含まれているのです。
このような同情すべき人間のためにアルコール分解酵素を含んだ薬品が販売されているようで、飲酒の30分前に服用すれば顔が赤くならないというのですが、そこまでして飲酒しようという気にもなりません。
寒い夜はグリューワインのかわりに熱いヒッポファンのエリキシールを飲むようにしています。








