WELEDA ガーデン便り:エーデルワイス

ドイツにあるヴェレダの広大な自社農園。そこで日々土に触れ、植物たちと向き合っている日本人ガーデナーの香月(かつき)さん。 このコラムでは、香月さん自身が綴る温かい言葉と、彼女のレンズ越しに切り取られた植物の瑞々しい写真で、農園での日々をお届けします。
ABOUT KATSUKI
香月さんについて
ヴェレダ ドイツ薬用植物農園
専属ガーデナーの香月さん
日本の直営店でセラピストとしてヴェレダの製品と哲学に深く魅了され、「ヴェレダのルーツである植物たちを直接この手で育てたい」という想いを胸に2016年渡独。
ドイツのDemeter(デメター)農園での4年間にわたる厳しい研修を経て、ドイツ国家認定ガーデナーの資格を取得し、2021年より念願のヴェレダ専属ガーデナーに。
現在は一児の母として仕事と家庭を両立し、忙しくも充実した毎日を送っています。
“探究心と好奇心”を大切に。 ドイツの豊かな大地から、植物たちの生命力あふれる物語をお届けします。
今回のテーマ
厳しい冬を越えて力強く芽吹く「エーデルワイス」。
過酷な高山環境で育つその知恵や、可憐な花姿に隠された秘密を、シーズン真っ盛りのドイツ農園から臨場感たっぷりお届けします。植物たちの生命力あふれる物語を、ぜひお楽しみください。
厳しい冬を越えて。エーデルワイスの力強い芽吹き
さて、ドイツでは5月中旬の “ Eisheiligen ”(春最後の氷点下)の週が終わると、気温がグンと上昇し、シーズンが本格的にスタートします。
ガーデナーや薬用植物たちも「待ちに待ってました!」と一気に慌ただしくなります。その中のひとつが、エーデルワイス(Leontopodium alpinum)です。
ちょうど春が始まる頃、寒い長いドイツの冬をじっと土の下で耐えてきたエーデルワイスがゆっくりと芽を出します。 独特の柔らかいふわふわした毛の間から、新鮮な若緑の葉をちらつかせ、なんとも言えない繊細な長細い葉が次から次へと開いていきます。
5月になり日差しが強く、長くなるにつれ、茎を天に向かって真っ直ぐ背を伸ばしていきます。しかし、タフなエーデルワイスは、ここでパッと花(中央の黄色い部分)を開かず、星形のような白い葉「苞葉」をまず開かせます。 それはまるで、じっくりとゆっくりと温かい日差しを堪能しているかのように見えます。
過酷な環境を生き抜く知恵。ふわふわの産毛と「UVカット」の秘密
とある大学の研究では、そのふわふわした毛の長さがちょうど紫外線(UV)の波長をカットするのに最適な長さで、それ以外の太陽の波長(例えば赤外線など)を吸収できる構造になっていることを発見したと発表しています。
きっと寒い冬に消耗した体力を補う為に日光を補給しているのかもしれませんね。
その他には、この毛によって必要な水分の蒸発を防ぐ働きもあります。標高2,000m以上の高山地の過酷な環境で育つエーデルワイスの巧みな生き延びる知恵が伺えます。
この部分に、エーデルワイスエキスの秘密が隠されているんですね。それについては、こちらの"サンケア"にとても分かりやすく説明しているので、どうぞそちらをご覧ください。
野生に近い環境を再現。ガーデナーたちの知恵と忍耐の結晶
さて、そのタフなエーデルワイスの栽培ですが、生命力が強いからこそ、簡単に育ってくれるんじゃないかなと思いますが、そのたくましさに隠れた繊細さが有用植物の栽培で難しいところでもあります。一度しっかり根付くまでが大変なのです。
エーデルワイスは高山の石灰岩地に自生しているため、まず自生に近い環境作りの必要があります。ヴェレダ農園のコンセプトでもある、 “自生する環境により近く、自然な状態で栽培する ” ところからスタートします。
まずグリーンハウスでは種蒔きから始まります。エーデルワイスは野生種の法律で厳密に保護されているため、私達ガーデナーも手にすることや栽培した経験が少ないのです。 当時、この貴重な種を蒔くのに、手に汗を握ったのを覚えています。 発芽し、根がしっかりと生え、外に植えられる大きさになる頃に、畑の土壌の準備が始まります。
ここドイツ農園の土壌は粘土質で、保水力はあるものの、硬く固まりやすいのが難点で、植物が地中深くまで根を張りにくいのです。そもそもエーデルワイスが自生する環境とは真逆ですね。 ガーデナー達はまず土壌に石灰岩を含ませ、表面には軽石などで水はけが良い、根を張りやすい状態を整えます。みんなの経験と知恵と忍耐を絞り、無事に栽培から初めての収穫に至るまで数年かかりました。
この見事な根っこをご覧ください。地上の見た目だけではなく、植物そのものが健康で逞しく育っているのが最も重要であり、エキスの良し悪しにも深く関係していきます。
その成果を体感できるのも収穫の醍醐味でもあります。 こうしてヴェレダ農園では、ひとつひとつの植物達にガーデナーの汗と物語が刻まれていきます。
内側から溢れる気品。心落ち着くエーデルワイスの魅力
6月、エーデルワイスより何倍もの大きい薬用植物達が背を伸ばして存在をアピールしている中、可憐に咲くエーデルワイスの花には、花言葉「奥ゆかしい美しさ」「高貴」「勇気」「忍耐」がぴったりです。
このふわふわと白い葉の中の小さく可憐な花が咲いている姿を見ると、心がすっと落ち着き、肩を撫でられる気がします。この内側から溢れる気品にもエーデルワイスエキスの保湿、整肌の秘密が隠されているのかもしれませんね。
Ade! (南ドイツの方言:またね!)









