妊娠線はなぜできるの? 予防のためのケア方法といつからはじめるべきか解説

妊娠中の女性の体は、おなかの赤ちゃんの成長に伴ううれしい変化だけでなく、さまざまなマイナートラブルにも見舞われます。
なかでも、多くの妊婦さんが気にするのが「妊娠線」です。一度できてしまうと完全に消えることはないとされるため、「できるだけ妊娠線ができるのを予防したい」と考える妊婦さんは多いよう。
そこで今回は、妊娠線ができる理由と、予防のために行いたいケア方法やその時期について解説します。


妊娠線とは

妊娠線とは、大きくなるおなかに皮膚の伸びが追いつかず、皮膚の奥の真皮や皮下組織が裂けてできる線です。別名“ストレッチマーク”と呼ばれます。妊娠中以外でも、体重が急増したときに起こることがあり、その際は“肉割れ”と呼ばれます。

妊娠中、できたばかりの妊娠線は赤紫色をしていて表面は凸凹していますが、産後6カ月くらい経つと徐々に薄くなり、白っぽい線のようになっていきます。ただ、皮膚が断裂しているため、完全には消えません。

正中線との違い
正中線とは、おへそから真下に向かって伸びている1本の線のこと。生まれながらに備わっているものです。

妊娠するとメラニン色素が活性化するのに加え、おなかが大きくなることで皮膚が薄くなるため、普段は気づかないこの正中線の色が濃くなり目立つようになります。

気になさる妊婦さんもいるようですが、妊娠線と違い、出産後はだんだん薄くなって、妊娠前と同じように自然とわからなくなっていくので、「跡が残ってしまうかも…」と心配する必要はありません。

妊娠線の原因は?

妊娠線ができる主な原因は、妊娠中の急激な体型の変化に皮膚の伸びが追いつかないことと、妊娠中に多く分泌されるホルモンの影響によってコラーゲン生成が抑制されるためと考えられています。

皮膚の急激な伸び
妊娠線ができる最大の原因は、急激な体型の変化により、皮膚が一気に伸ばされてしまうことにあります。

皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層からできていますが、一番上の表皮が体の変化に合わせて柔軟に伸びていくのに対し、その下にある真皮は伸びにくく、急激に伸ばそうとすると断裂してしまいます。この断裂によるひび割れが、妊娠線の正体です。

妊娠中に分泌されるホルモンの影響
妊娠中は、ステロイドとコルチゾールという2つのホルモンの分泌が増えます。その影響でコラーゲンの生成が妨げられるため、皮膚の弾力が失われ、断裂が起こり、妊娠線ができやすくなります。

その上、ステロイドがターンオーバーを抑制するため、皮膚の再生が遅くなり、より妊娠線ができやすい状況がつくられます。

妊婦さんのおなかは、妊娠中期である妊娠5カ月ごろから、他人が見ても妊娠しているとわかるくらいに目立ち始めます。妊娠線は、その妊娠中期から妊娠後期・臨月にかけてできることが多いので、注意が必要です。

ただし、妊娠線ができる時期には個人差があります。まだおなかが目立たない妊娠初期にできたという人もいるので、早い段階からケアする習慣を身につけておくとよいでしょう。

妊娠線はおなか以外にもできる

妊娠線と聞くと、おなかにできるものというイメージがあるのではないでしょうか。しかし妊娠線は、おなかだけでなく、脂肪がつきやすいバストやヒップ、二の腕、太ももなどにもできます。

見えづらい意外な場所にできることもあるので、おなかだけでなく、全身くまなくケアするよう意識することが大切です。

妊娠線ができやすい人は?
妊娠線はすべての妊婦さんにできるわけではありません。ただし、以下のタイプの人は妊娠線ができやすいと言われているので、とくに気をつけましょう。

●細身の人
妊娠前の体格がやせ型の人は、妊娠中に増やしたい体重増加の目安が、普通体重の人より高く設定されています。その分、体型の変化が大きくなるので、妊娠線ができやすいと言えるでしょう。

●小柄な人
小柄な人は体の表面積が小さい分、おなかが前に突き出すように大きくふくらむため、おなかの皮膚が大きく引き伸ばされて、妊娠線ができやすい可能性があります。

●乾燥肌の人
乾燥している皮膚は柔軟性に乏しく、伸びにくいため、断裂して妊娠線ができやすくなります。

●高齢出産の人
35歳以上で初めて出産することを「高齢出産」と言います。高齢出産の妊婦さんは、加齢によって皮膚の柔軟性が衰えている可能性が高いので、妊娠線ができやすいと言われています。

●経産婦の人
出産経験のある経産婦さんは、初産婦さんに比べておなかが大きくなるスピードが速いため、その分、皮膚が急激に引き伸ばされ、妊娠線ができやすいと言えます。以前の妊娠で妊娠線ができなかった人も、注意が必要です。

●多胎妊娠の人
双子や三つ子などの多胎妊娠の場合は、単胎妊娠よりもおなかが大きくなります。その分、皮膚が大きく引き伸ばされるので、妊娠線ができやすくなります。

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ケアを始める時期は?

妊娠線は、おなかが目立ち始める妊娠5カ月ごろからでき始めることが多いようです。そのころまでには、朝晩の保湿ケアが習慣にできているのが理想です。

保湿ケアはすぐに効果が期待できるわけではないので、つわりなどで体調が著しく悪いのでなければ、妊娠初期から始めましょう。

妊娠線の予防方法は?

妊娠線を予防する上で大切なのは、急激な体型の変化を防ぐための「適切な体重管理」と、皮膚の柔軟性を保つための「保湿ケア」です。

適切な体重管理
妊娠線ができる最大の原因は、急な体型の変化により、皮膚が一気に伸ばされてしまうことにあります。つまり、妊娠線を予防するには、皮膚を“ゆっくり伸ばす”ことがポイントに。

つわりが終わった後や妊娠後期は食欲が増す人が増えますが、妊娠前の体重と妊娠月数に合った適切な体重増加を心がけ、急激に太らないようにコントロールすることが大切です。

もちろん、おなかの赤ちゃんの成長のために適切に体重を増やすことは大切ですが、急激に増やさないことは、妊娠線だけでなく、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスクを回避することにもつながります。

保湿ケア
皮膚が乾燥していると柔軟性が低下するため、妊娠線ができやすくなります。保湿剤を使って、しっかり保湿しましょう。できれば、妊娠線ケア専用の保湿剤を使うのがおすすめです。

妊娠線ケア専用の保湿剤は、伸びがよく、マッサージをするときにすべりがよくなるのが特徴です。ローション、オイル、クリームなどのタイプがあるので、肌質や好みに合わせて使うといいでしょう。毎日、コツコツ続けることが大切なので、使うことが楽しくなるようなお気に入りのアイテムを選ぶのがポイントです。

妊娠線ケアローション
顔につける化粧水のように、うるおいを与えてくれるのが妊娠線ケアローションです。サラッとした軽い使い心地が特徴で、夏の妊婦さんからの支持が高め。クリームやオイルとの併用がおすすめです。

妊娠線ケアオイル
保湿力が高いのが最大の特徴で、乾燥しがちな皮膚をやわらかく保ってくれます。また、すっと伸びがよく、マッサージしながら塗りやすいのもメリットです。購入するときは、皮膚への浸透性が高い商品を選びとよいでしょう。

妊娠ケアクリーム
水分で皮膚にしっかりとうるおいを与えながら、油分で保湿ができるのが、妊娠線ケアクリームの特徴です。水分補給と保湿が同時にできるため、手軽に使うことができます。

マッサージ
妊娠線ケア専用の保湿剤を塗るだけでも、妊娠線の予防効果が期待できますが、マッサージをプラスすると、皮膚の柔軟性をより高めることができてさらに効果的です。

マッサージは1日2回、妊娠線ケア専用の保湿剤を塗りながら行うのが理想。常に皮膚が保湿された状態をキープすることができます。夜、お風呂から上がった直後と、朝、寝起きやスキンケアのタイミングで行うといいでしょう。

*おなかが張るときは、マッサージを控えてください。マッサージをしている途中に張りを感じた場合は、すぐに中止しましょう。

パーツ別妊娠線予防マッサージ

ではここから、パーツ別に妊娠線予防マッサージの効果的なやり方を見ていきましょう。妊娠線ケア専用の保湿剤を使いながら、やさしく行ってください。

おなかのマッサージ
1.おへをそを中心にして、円を描くように妊娠線ケア専用の保湿剤を塗り広げていきます。
2.両腰から下腹部の中心に向けて、上から下へらせんを描くようにマッサージします。
3.下腹部をやさしく上下にさすります。

バストのマッサージ
1.両乳房の下に手を当て、乳房の形に沿って小さく円を描くようにマッサージします。
2.片方の乳房の下に反対側の手を当て、やさしく押し上げてからゆっくりと下に戻しましょう。

ヒップ・太もものマッサージ
1.ヒップ・太ももの下から上に向かって、らせんを描くようにマッサージします。

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臨月は特に注意!

妊娠線ができないまま妊娠後期に入り、臨月を迎えたとしても、油断は禁物です。赤ちゃんは生まれる直前1カ月で一気に大きくなるため、臨月は妊娠線ができやすいのです。

妊娠線を予防するには、こまめな保湿ケアを、いかに毎日コツコツ続けられるかがカギ。臨月も無理のない範囲で続けましょう。

出産時のいきみや、出産後のバストの張りで、妊娠線ができることもあります。その予防策として皮膚を柔軟に保つためにも、臨月に保湿ケアを続けることは大切です。

まとめ

妊娠線ができる時期やできやすさは人によって異なりますが、体重増加のスピードを適切にコントロールすることと、保湿ケアをしっかり行うことが大切です。

「今日はマッサージをするのが億劫だな」と感じる日は、妊娠線ケア専用の保湿剤を塗るだけでもOK。毎日ケアを続けることが大切です。

妊娠初期からの丁寧なケアで、妊娠線を予防してくださいね。