姉妹愛とスノーボード愛で、未来に突き進む!
夏から秋に向かう季節。空気の冷たさを感じると、華麗な演技や白熱した競技が繰り広げられた北京2022 冬季オリンピックの記憶が蘇る方も多いのではないでしょうか。
国内のアスリートをサポートする、ヴェレダ アルニカスポーツプロジェクト。そのアンバサダーであるプロスノーボーダーの芳家里菜さん。
彼女もこの北京オリンピックで、すばらしいトリックを繰り広げるはずでした。しかし、公式練習中にジャンプ着地で転倒して脊椎を損傷し、欠場を余儀なくされました。
現在、競技復帰に向け、リハビリを続ける里菜さん、そして支え続ける姉の裕里さんにお話を伺いました。
夢の舞台、オリンピック出場目前で叶わず、選手生命も危い状況から、どのように前向きに気持ちを切り替えたのか、また支えは何だったのか。
お二人のお話には、コロナ禍で気持ちが沈んでしまうことも多い今、ポジティブに過ごすヒントがありそうです。
森谷
はじめまして!今回はお会いできて嬉しいです。里菜さん。お怪我の具合は、いかがですか。お姉さんから、事故のご連絡をいただいた時、私たちも本当に驚き、只事ではないと本当に心配しました。
里菜さん
ありがとうございます。今は腰にボルトが埋まっている状態ですが、復帰のためにリハビリを続けています。
森谷
そうですか!すでに復帰に向けて動かれているのですね!お怪我された当時のこと、お聞かせいただいてもいいでしょうか。
里菜さん
はい、試合前の練習が3日間あり、2日目に怪我をしてしまいました。怪我をした当日は、翌日の練習最終日に強風の情報があって、練習が満足にできない可能性もあったので、今日の内にある程度ルーティンを完成させないといけない状況でした。
また、オリンピックのコースって世界大会と比較できないくらいすっごく大きくて。ジャンプ台とかビルみたいで...笑
限られた時間で、経験したことのないコースに挑み、ある程度のルーティンを完成させないといけないという焦り、そして怖さとの戦いでした。
森谷
それは、私たちの想像を絶するものですね...。
里菜さん
そんな中、スピン1回目の時に、ジャンプ台から飛びすぎてしまって...。飛んだ瞬間、飛びすぎたっ!と分かって。どう着地しようかということだけ考えていました。
いつもだったら着地面を見るんですけど、全く地面が見えてこなくて...笑。でもここまで回復できたことを思うと、本当に落ち方が良かったんだと思います。
結局、いつもの3倍くらい飛んでしまったみたいです。落ちた瞬間は息もできない状態で、その後、病院に緊急搬送されました。
森谷
3倍も!
裕里さんは、事故のことを聞かれて、どうでしたか。
裕里さん
本当に、気が気じゃなかったです苦笑
本人とは連絡ができなくて、マネージャーさんから救急車で運ばれたと聞いて...。軽いヒビならビックエアーの出場はいけるのではないかと思ったりもしたのですが、背骨が折れたと聞いて、コロナの影響で北京に駆けつけることもできず家族全員、心配で心配で。
森谷
里菜さん、緊急搬送された先ではどのような状況だったのでしょうか。
里菜さん
コロナ禍だったので、コーチでさえ病院に来るのが大変な状況でした。ドクターは中国語しか話せなくて、その中でも「ラッキー」って言葉だけ聞こえて...。
「あれ?折れてないのかな?」と思ったんですけど「足が動いてラッキー」という意味だったのです。
森谷
そうだったのですね...。
里菜さん
でもなぜか、その「ラッキー」って言葉に「ああ、ラッキーかぁ...」と気持ちを切り替えられました。
その夜中、やっと姉と電話ができて、最初はオリンピックに出られない、ここまできたのにと涙が流れましたが、前に進むしかないと思えるようになりました。
森谷
なんという、ポジティブさ!!
里菜さん
「全然、足動いているけど...」と思って。
私の場合、背骨が全てきれいに折れていたので、その状態だと80%くらいの人が足が動かなくなるそうなんです。
それを考えたら、本当にラッキーだったなあと。
森谷
ラッキーという言葉から、吹っ切れたと。その人並み外れた前向きなマインドはどこからくるのでしょうか?
里菜さん
小さいときから、後悔しても仕方がない、今しかできないことをやるしかないというタイプでした。元々の性格もあって、姉との電話からメンタルが回復して、このままでは終われないって切り替えられました。
森谷
揺れ動く気持ちの中で、裕里さんの支えもあって切り替えができたのですね。また、持ち前のポジティブさがアスリートとしての里菜さんの強さにつながっているように感じました。そこから回復するまで、本当に大変だったと思います。
里菜さん
つらかったですね...苦笑
固定のために、腰にボルトを埋める手術だったんですが、搬送先の病院では中国製のボルトしかなくて、それだと日本ではボルトを抜く手術ができないので、3日間待って日本製のボルトが届いてから手術となりました。
手術後は、携帯さえも重くて持てなくて。
それに手術後も、少しでも動いたら足が動かなくなると言われて、歯磨きもできなくて。
そう!そのとき、ヴェレダのマウスウォッシュでうがいができてめっちゃ助かりました!
それととにかく、つらかったのは、中国のご飯...笑
病院では傷を治すために赤身を食べた方がいいということで、肉がたくさんでてきたり、朝から辛いキムチとか...笑
それでも、術後3日目くらいには座った姿勢を15分間保てるようになりました。普通は最初からそんなに長くはできないそうで、病院の人達に驚かれました。
それから2日後には、立てるようになりました。
森谷
すごい、回復力!やはりアスリートですね。その後、オリンピックについて思うことはありますか?
里菜さん
そうですね。オリンピックに出て、中途半端な順位をとってしまったら燃え尽きてしまっていた可能性もあったので、4年後も競技をやっていたいので、そう考えると良かったのかもとも思いました。
森谷
スノーボードが大好きなんですね。
里菜さん
そうですね、本当に好きでスノーボードをしています。スノーボードで、自分を表現できると思うんです。
自分がどれだけ、カッコイイ滑りができるか、それができたら、みんなで喜ぶ、そういう選手同士のつながりもありますし。
また私の場合、世界大会の際に「好きで楽しいから滑る」ではなくて、「勝つためにやらなきゃいけないから滑る」って気持ちになった時は落ち込んだくらいです笑
裕里さん
そうなんですよ。その相談を受けて、私は「やらなきゃいけない」しかないくらいでやっていたので、里菜は「やりたい」って気持ちだけで、今までやってきたの?って笑
里菜さん
一人だったら落ち込んで終わってしまっていたかもしれないけど、姉がそう言ってくれて、みんなそうなんだって、すぐに吹っ切れたんです笑
森谷
ご姉妹にとってお互いの存在が大きいように感じたのですが。
裕里さん
そうですね。仲良しですね。
いつも一緒に練習して、練習方法で議論して喧嘩したりしてました笑。練習の行き帰りはその会話。行きは練習方法で帰りは反省会笑。同じ競技だから分かり合えるところも多くて、本当に良かったと思っています。
森谷
姉妹愛!
せっかくのインタビューの機会ですし、大怪我を乗り越えて、再出発のこのときに、お互いに伝えたいことをお聞かせくださいますか。
里菜さん
そうですね...照れますね笑
いつもサポートしてくれた姉がいたから、スノーボードを続けてこれました。姉がいなかったらスノーボードを続けていなかったと思うし、姉がいてくれたからその楽しさも知ることができました。負けたくないという気持ちもあり、本当に大きな存在です。
遠征費がかかり、金銭的に厳しくなったとき、「私は諦めるから、里菜!頑張って」と言ってくれ、本当に感謝しています。
裕里さん
いつも応援してるし、何かあったら頼ってすぐに相談してほしいと思ってます。
辞めることも「里菜のためだったら気を遣わないでほしい」と言われたけど、自分の問題だから、里菜は気にせず突き進んで欲しいと思います。
オリンピックに出る夢は、あんたに託したよ〜!
森谷
ステキなメッセージ、ありがとうございます!最後に今後の目標を教えてください。
里菜さん
10月にボルトを抜く手術をして、来年から本格的に練習を再開できればと思っています。
そして4年後のイタリアのオリンピックを目指したいです。オリンピックで多くの人にスノーボードに注目してもらい、競技を盛り上げていきたいです。
そして、オリンピックは、姉と一緒に目指していたし、姉が諦めてまで応援してくれたから、やっぱりまた一緒に目指したいです!
裕里さん
4年後のイタリアのオリンピックに向けて里菜のサポートを全力でしていきたいと思います!
里菜が復帰に向けて頑張っているので、私はサポートに必要な知識を身に付けたりなど、負けじと頑張ります!一緒に次のオリンピックを目指します!
森谷
本日は、芳家姉妹のスノーボード愛と姉妹愛をビリビリと感じました。また、里菜さんのアスリートとしてのメンタルとフィジカルの強さにも感動しました!コロナ禍で気持ちが沈んでしまうこともありますが、お二人の前向きな気持ちやお互いを思う気持ちをお聞かせいただいて、元気をいただくことができました!
本日は本当にありがとうございました。
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最後に
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今回、おふたりのお話を聞かせていただいて、誰しもができることではないオリンピックの代表に選ばれ、悔しくもその舞台に立てないほどの大怪我にあいながらも、復帰に向けて前向きに進んでおられる里菜さんは、アスリートとしてのフィジカル、メンタルの強さがあることはもちろんのこと、そこには姉の裕里さんをはじめ、ご家族が大きな支えとなっておられました。今後ヴェレダもアルニカシリーズでお二人の心身のサポートに寄り添っていければと思います。
皆さんも、芳家姉妹のこれからの活躍にご注目くださいね。
>芳家 里菜 Instagram
>芳家 裕里 Instagram



