長い間ドイツに在住しておりますが、サツマイモがドイツで入手できるとは知りませんでした。サツマイモらしきものをスーパーで見た記憶も皆無で、家内が「甘いジャガイモを食べようか?」と言い出したことに端を発し、「甘いジャガイモっていったい何だ、どんな料理を作るのだろう」と疑問と関心が入り混じり合いましたので、「いいよ!」と即答してしまいました。
で、家内が買ってきた「甘いジャガイモ」をよくみましたら何のことはない、日本でいうところのサツマイモです。「これで一体何を作るんだ?」と聞きましたら、「スープ!」という思いがけない返事。「スープ??」と訝っていましたら、「カボチャのスープみたいな感じかな、とろみはさほどでもないけど少し甘みがあっておいしいよ。ショウガを少し擂って入れると味が引き立つ」との解説がありました。そういえばカボチャのスープは当地でよく食されておりまして、トーストされたパンと一緒に食べるとけっこう腹の足しになりますし美味です。しかしサツマイモのスープと聞いただけで食欲が失せてしまい、『ジャガイモとサツマイモの違いをいろんな観点から明確にする必要がある』という尤もらしい理屈をつけて強引にサツマイモスープを断念させ、ちょうど旬のアスパラガスが出回っていますので、これに厚切りのハムと塩茹でしたサツマイモ(通常はジャガイモ)を日曜午後の昼食としました。
いくつかドイツのサツマイモの第一印象を記してみます。まず色がとにかく強烈です(人参並み)。そして茹でる時間がジャガイモの半分以下です(省エネ効果大)。味は確かに甘くカボチャと同じくらいです。つまるところサツマイモはアスパラガスやハムとは味も色もマッチしないことが判明しました。やはりスープの方が無難だったようです。植物学的に見ますとサツマイモはヒルガオ科植物でジャガイモはナス科植物という相違があるものの、調理法は似ているといわれています。ジャガイモはドイツのキッチンでは欠かすことができない野菜ですが、サツマイモはここ数年のうちに認知度が少しづつ高まってきているとかで、道理でスーパーで見かけなかったはずです。カロリー、炭水化物、タンパク質、脂肪分の含有量はサツマイモとジャガイモで大差がありませんが、サツマイモはジャガイモと比べて糖分が多く、繊維素や塩分もジャガイモより多めです。β-カロテン、ビタミンC、Eはサツマイモに多く、葉酸、リンはジャガイモの方が多ということになっていますが、栄養価からみれば両者ほゞ同じです。グリセミック指数(Glycemic Index=食後の血糖値指数)についてはジャガイモはサツマイモの約35%増とのことで、ある専門誌は最終的にはサツマイモの方がヘルシーだとしています。蛇足ですが価格はサツマイモの方がジャガイモの倍以上で、これは南欧からの輸入に加えて需要がまだ低いので単価が割高になるのは必然です。
ここまで書いてきましたら家内がいきなり「トピナンブー(Topinambur)って知ってる?」と聞いてきました。漱石の「吾輩は猫である」に出てくるトチメンボーを思いださせる変わった名前で、辞書を引くと「キクイモ:キク科ヒマワリ属」とあります。「見たことも聞いたことも食べたこともないない」と答えますと、「キクイモはイヌリンを多く含んでいるので糖尿病患者に好まれているんだ。サツマイモについて駄文コラムを書いているんだったらついでにキクイモについても書いたらどう?」と口を挟んできました。農家出身だけあって野菜に関する雑学知識は小生の及ぶところではありません。キクイモに関しては一度試食してから改めてご報告したいと思います。








