屋根の修復工事

9年前に購入した家が築30年となり、平屋根の根本的な修復が避けられない状況となりましたので、一番信頼の置けそうな業者に一任しました。家が袋小路の真ん中からさらに奥に引っ込んだところにありまして、クレーンをガレージの前に設置する以外に方法はなく、家の周りに足場を組む必要もあって全工程に2~3週間かかるということでスタートしたのですが、いろんな問題が出てきました。

まず最初に運搬されたのがクレーンです。ガレージの前にあるのはわずか6m四方の石畳で、運搬された巨大なクレーンの設置はどう見ても不可能(のように思えるの)ですが、運搬人は3人がかりで無言で仕事にとりかかります。袋小路の道幅も狭く、向こう三軒両隣に路上駐車をせぬよう依頼して、それこそ寸単位の移動をくりかえし、4時間かかって然るべき箇所にクレーンを設置しました。3週間ほど拙宅のガレージを使えないわけですが予めわかっていたことですし、クルマは200m離れた主要道路に駐車することにしました。
本格的な工事はまず足場を組み立てることから始まりました。ところが足場の周辺を歩く職人によって、家内が丹精込めて栽培している庭の花が蹂躙され、芽を出し始めたエキナセアや蕾がふくらんだアヤメなどがその犠牲になってしまい、家内が「職人たちに目はないのか!わざと踏みにじっているように思える・・・」と嘆息しきりですが、花に無関心な職人にとってはどうでもいいことで、これも小生にとっては想定内です。
家内は家の東側のレンガの壁に野鳥営巣用の巣筒を二つ吊り下げていまして、年に数回シジュウカラが産卵、孵化を行っています。足場で作業する職人による騒音でシジュウカラはおよそ落ち着けないだろうと考えた家内は、巣筒のひとつを壁から少し離れたミラベルの樹の地上2mのところに吊り下げました。

ところが翌日、吊るした巣の方向が違うことを発見、そして足場の板の上に割れた卵の殻をみつけて、「アライグマの仕業に違いない!シジュウカラは小鳥が巣立ったのか、しばらく見ないが気になるのは、もう一つのサクラの樹に吊るしてあるアオガラの巣筒だ。親鳥が頻繁に出入りしているし、餌を求める小鳥の小さな鳴き声をよく聞くようになったので、アライグマに襲われたら大変…何とかしなくては…」と考えていましたら義弟から電話で「庭に吊るしてあった巣からシジュウカラの卵が盗まれた」との報告。「すわ大変」と、とりあえず網を幹に固定して様子を見ることにしました。有刺鉄線を幹に巻きつけることも考えていましたが、実行に移す前に7羽のアオガラの幼鳥が次々と無事巣立って一安心。幼鳥の巣立ちを間近で目撃するのは家内にとって初めての体験で大いに感激していました (小生は残念ながら見損ないました)。

しかしいいことだけではありません。アオガラが巣立ちした数日前に小さな方の池に頭と足が異常に大きい、まだ育ち切ってない幼鳥の死骸が浮かんでいるのを家内が見つけました。頭と羽は黒く、腹部は羽毛が付いていません。「はて、カラスの幼鳥かな…きっとこれもアライグマの仕業だ。どこかで仕留めてウチの小池で洗ったのだろう。野生のミミズクの幼鳥が親鳥がいない間にアライグマに食い殺されたという残酷極まりないビデオニュースが最近あったばかりだ…」と沈痛な面持ちでした。アライグマに天敵はいないようで、おまけに木登りが得意となれば捕獲も困難です。アライグマがこれほどまでに拙宅の庭に出没することと工事現場(特に足場)と何か関連があると思いたくなります。
数十年ぶりとかいう寒い4月と5月のせいで、今年は春の開花が遅いです。ミツバチもあまり飛んでいません。ハチミツの収穫はあまり期待できないようです。
(2021年6月)